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映画ウォーキング 群を抜いておもしろい映画評です。名作と言われる映画もジェンダーの視点で切ると・・・
ペイ・フォーワード(ミミ・レダー監督・2000年・アメリカ)

 11歳の中学校1年生の男の子トレーパーは、社会科の授業で、シモネット先生に課題を出される。「この社会を変えるためには何をしたらいいのか」
 彼は、3つのいいことを他の人にし、またその3人が、他人にいいことをすれば社会を変えていくと考える。偶然知り合った麻薬中毒のホームレスの人を家に呼んでくる。
 いろんな人の人生にコミットしようとするがうまくいかない。いじめられている友達を救うこともできない。
 型どおりの人生を送る社会科のシモネット先生とシングルマザーで、アルコール依存症に苦しむ自分の母親を結びつけようとするが・・・・・・・・・・・・。
 シモネット先生は、父親が暴力を振るう家庭で育った。父親は、子どもには暴力を振るわなかったが、16歳になった彼が、父親に「今度母親に暴力を振るったら、殺してやる」と言ったら、父親にこっぴどく殴られ、引っ張られて、灯油をかけられ、火をつけられてしまう。先生は言う。「父親がマッチをする瞬間、その眼にうかんだものはものすごい満足感だった」。憎悪ではなく満足感というところがすごい。
 実は11歳トレーパーの母親も暴力夫に苦しめられ、夫はいなくなっていたのだ。
 不意に夫が帰ってきて、「悪かった。やり直そう」と言う。
 迷う母親。先生とつき合い始めていた彼女は「夫とやり直す。ごめんなさい。」と言いにいく。
 そこで、シモネット先生は、自分の子ども時代の話をし、なぜ自分の顔にやけどの跡があるのか説明をする。
 「今、暴力を振るっていなくても、子どもに振るうようになる。」「仮に暴力を振るわれなくても子どもが傷ついているという点では同じだ」と。
 戻ってきた夫は結局全然変わっていなかった。勇気を出して、夫と別れる彼女。
 彼女はまた今はホームレスになっている自分の母親に会いにいく。
 そして、母親にいう。「ママに隠れてわたしにされていたこと、すべてを許す」と。つまり、彼女が子どものときに父親か義理の父親に性暴力を受けていて、そのことを母親が実は見て見ぬふりをしていたことが暗示される。
 彼女はとてつもなく難しい母親との和解をしたのだ。
 11歳の男の子の考えたことが、みんなに波紋をよんでいく。
 彼が、ペイ・フォーワードしようとしたホームレスの人は、橋からとびおり自殺しようとした女性を必死で引き留める。「わたしなんて生きている価値がないのよ」という彼女に対して、彼は言う。「君を救うのではなく僕も生きようと思った」。そして、こうも言う。「コーヒーを飲みませんか」。他人を必死で救おうとして、逆に自分に「生きたい」という気持ちが湧き起こってきたのだ。
 ペイ・フォーワードは、家族の人間関係のなかでの癒しと和解とみずしらずの人に対する無償のペイ・フォーワードを描いている。

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