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映画ウォーキング 群を抜いておもしろい映画評です。名作と言われる映画もジェンダーの視点で切ると・・・
『チェ 39歳 別れの手紙』(スティーヴン・ソダーバーグ監督 フランス/スペイン 2008年)

 プロデューサー ローラ・ビックフォード、ベニチオ・デル・トロ
 脚本 ピーター・バックマン
 主演 ベニチオ・デル・トロ、カルロス・バルデム、フランカ・ボテンテ、ロドリ
     ゴ・サントロ、ルー・ダイヤモンド・フィリップス、マット・デイモン

 チェの映画は、2部作からなっている。
 第1部の「チェ 28歳の革命」には、感激をした。
 その後、妻のアレイダが書いた「わが夫、チェ・ゲバラー愛と革命の追憶」(アレイダ・マルチ著、後藤政子訳)を読む機会があった。
 この本を翻訳をされた後藤政子さんにいただいたものである。

 映画を見た後、この本を読んで、いろいろ考えた。

 妻は、闘士であったが、自分と小さな子ども4人を置いて、革命のために行ってしまった夫に対して、苦しんでいたのではないだろうか。
 わたしだったら、一緒に子育てをして欲しいと切望をするだろう。
 妻にとっては、塗炭の苦しみだっただろう。
 どんなに愛していると言われたところで、自分と子ども以上に大事なものがあるのだから。

 そんなことをぶつぶつ考えているときに、第2作のこの映画を見た。

 ときどきこの映画のことを思い、考える。

 チェは、コンゴに行き、ボリビアに行く。
 ボリビアで、革命を起こそうとゲリラ活動をする。

 成功をしたキューバ革命のときとは、全く様相が違っている。
 ボリビア共産党は、チェの入国を承諾をしながら、協力をしないことを決定し、通告をする。この背後には、ソビエトがあるのか。チェは、ソビエトに対して、批判的になっていたことも影響をしているのか。
 チェたちは、孤立した闘いを強いられる。
 ここには、キューバのときのようなカストロはいないのである。
 チェに対して、軍事政権は、「外国人がボリビアを侵攻をしようとしている。ゲリラは、殺戮を繰り返し、女性を強姦をする。」とひどいキャンペーンをしていく。

 それは、嘘なのだが、農民は、ゲリラに対してうさんくさいという眼をむける。

 アメリカは、ベトナムでゲリラ掃討作戦に従事をしていた米兵などを、ボリビアに送り込む。

 見ていて辛くなる部分もある。
 誠実にとにかく前進をしていくしかないと動いていくチェたち。

 しかし、共感するところが多く、いろんなことを考える。

 キューバでの地位や妻や子どもたち、名声や権力を捨ててまでも、なぜこんなに困難な道に進んでいくのか。しかも、悲しいことに、農民の生活をなんとかしたいと愛情から、スタートしているにもかかわらず、当の農民たちの多くは、そのことを理解をしないし、共感をせず、むしろ軍事政権に対して、スパイの役割を果たす。
 愛情と思いとそして厳しい現実。
 リサーチ不足や戦略の失敗ということは、確かに指摘ができるだろう。
 しかし、途中で放り出したりしない。
 勝たないかもしれないけれど、困難な状況のなか、そのなかで、精一杯誠実に生きようとする。

 最後に、とらえられ、手足を縛られ、髪が長くぼさぼさで、うずくまるチェは、キリストのようだ。
 ついていっているターニャは、わたしには、どこかマグダラのマリアにも思える。

 今、南アメリカは、いわゆる左翼政権となっている。
 チリのアジェンデ政権が、軍部によって、弾圧をされ、多くの人が殺され、亡命をする人が出た。
 社会主義インターナショナルの事務局長のアヨラさんは、チリで弁護士をしていて、このときに、スウェーデンに亡命をした。
 今のチリの女性大統領も拷問を受け、父親を殺され、亡命をし、チリに帰ってきたのである。

 今、南米は、政治が大きく変わり、軍事政権が打倒をされ、ボリビアも変わった。

 そんななかで、南米のために、ライフ、つまり、人生と命を捧げたチェ・ゲバラのことを改めてみんな感謝も込めて思い出しているのではないか。

 チェは、殺されてしまったけれど、変な言い方だが、キリストの考えていたことや彼の思想が、多くの人に影響を与えたように、多くの人に影響を与えている。
 キリストは、女性にももてたと言われている。わたしは、それは、女性に対して優しかったからだと思うが、チェも女性にもてたのではないか。

 映画の影響か、キリストとイメージがだぶる。

 とらわれたとき、監視をしているボリビアの若い兵士に、チェは、聞かれる。
 「神を信ずるか」と。
 それに対して答える。「人を信ずる。」と。

 安穏とした人生ではもちろんなかった。しかし、実に多くの人に理想に生き、愛に生きたということで、大きな影響を与え続けている。

 毎日新聞に、キューバに、チェ・ゲバラが名付けた稲次郎・浅沼紡績工場が今もあるという記事が載っていた。
 チェがつけたのである。殺された社会党の浅沼さんを記念をして、つけたそうである。

 わたしが、アフリカのモザンビークに行ったときに、自主運営をしている大きな農場に行ったら、チェ・ゲバラ農園と名付けられていた。
 世界中が、どこかで、つながっている。

 誠実な生き方について、心打たれる。
 個人の栄達や名誉や権力や地位は、求めなかったのである。
                    (福島みずほのHPより一部変更して転載)
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