判例 女友だち 映画ウォーキング 情報BOX わがまま読書 リンク おたより欄
映画ウォーキング 群を抜いておもしろい映画評です。名作と言われる映画もジェンダーの視点で切ると・・・
『スラムドッグ$ミリオネア』(ダニー・ボイル監督 イギリス/アメリカ 2008年)

 脚本 サイモン・ボーフォイ
 主演 デヴ・パテル、マドゥール・ミタル、フリーダ・ピント、アニル・カプー
     ル、イルファン・カーン

 ハイテンションで、パワフルで、スピード感あふれる映画。
 とにかく子どもたちのかわいらしさ、たくましさ、過酷さに圧倒される。
 ジャマールやラティカなどのかわいらしさは、この映画のとてつもなく心打たれるところだ。

 スラムの生命力もすごい。
 変貌するインド、ムンバイも描かれている。

 なぜジャマールは、クイズで、正解が出せるのか。
 偶然だが、そのことをなぜジャマールが、答えられるのかを彼の過酷な人生が教えてくれる。
 意外、意外。
 そうだったのか。

 クイズの答えと彼の小さいときからの人生が、交差し、映画を見ているわたしたちは、彼のロードムービーのような、そして、過酷な人生をともに生きていくような感じになる。

 わたしは、この映画は、すごい純愛物語だと思う。

 久しぶりに幼なじみのラティカに会ったら、ラティカが言う。
 「忘れないでいてくれたのね。」
 ジャマールは、言う。「一瞬たりとも忘れたことはなかった。」と。

 すごいなあ。
 こんなことを言われたら、女冥利に尽きるなあ。

 この映画は、ジャマールのやさしさ、一途さ、正直さ、純愛を描いている。
 ジャマールは、やさしい。眼をつぶされて、歌いながら、物乞いをさせられている幼なじみに出会い、100ドルをあげる。

 この映画を見終わったときは、わたしは、ジャマールの一途さ、純愛にショックをうけたくらいである。
 そして、日が経つにつれて、主旋律は、ジャマールだけど、おにいちゃんであるサリームとの兄弟愛も強く感ずるようになった。
 おにいちゃんは、ときに、意地悪である。弟がトイレにはいっているときに、鍵をかけたりする。これに、全く動じず、行動に出るマジャールのあきらめないというのもすごいのだが。
 弟がせっかくもらったスターのサインを勝手に売り飛ばす。また、ラティカを自分のものにしようとする。これは、不器用なおにいちゃん、愛情をうまく表現できないおにいちゃんとジャマールの三角関係とも言えるが、本質は、おにいちゃんは、ジャマールが別のことに没頭をすることに耐えられないのではないか。

 親はいない。家族は、兄弟しかいないのである。サリームにしてみれば、弟しか家族はいないのである。兄の弟に対する深い愛を描いているとも言えないか。弟の思いにひきずられ、また、ムンバイに戻ってきたりもする。
 実際ジャマールは、度胸のあるサリームによって何度も危機を救われているのである。
 体を張って、弟を守るのである。

 一途で、純情で、やさしいマジャール、ワルで度胸のあるサリーム。
 両方がスラムをあらわしている。

 笑ってしまうユーモラスな場面も驚いてこれまた笑ってしまう場面もたくさんある。

 人生賛歌でもある。

 猥雑であり、矛盾ととんでもないことのあつまりであり、純愛物語であり、こどもたちのかわいらしさやバイタリティーに脱帽である。
                    (福島みずほのHPより一部変更して転載)
Copyright(C) 2001 GAL. All Rights Reserved.
 
TOP BACK