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映画ウォーキング 群を抜いておもしろい映画評です。名作と言われる映画もジェンダーの視点で切ると・・・
『アンジェラ』(リック・べッソン監督 フランス 2005年)

 心が癒されて元気に生きていこうと思う映画、どんな人も心は美しいのではないかと思えてくる映画、他人にひたすら優しくなれます。

 セーヌ川にかかる橋の欄干に上がるアンドレ。
 空を見上げ、セーヌ川を見下ろし、絶望的な気分で今にも川にとびこもうとしている。
 そこに、なぜか同じように立っている一人の女。
 2人とも川にとびこむことになる。

 女性は、身長180センチの長身の金髪のすごいかっこいい人。
 アンドレは、巨額の借金まみれになり、マフィアの借金取りに追われ、命を狙われる。もう絶体絶命の状況で、自殺をしようとしていたのだ。ホームレスのようによれよれになり、すさみきった顔と風情のアンドレに対して、その女性アンジェラは、「あなたに未来を与えるためにきた。」と言う。面食らってアンジェラを見上げるアンドレ。

 はて?スーパーモデルのようにかっこいいアンジャラは、何のために、アンドレにかまうのか?何を考え、何ものなのか?

   アンジャラは、あっというまにお金を作ったり、また、マフィアを一撃したり、「レオン」や「ジャンヌ・ダルク」を作ったリック・べッソンならではのかっこいい女性。
 彼女は、天空からやってきた天使で、アンドレを救って立ち直らせるという使命(ミッション)を持ち、その使命が完了したら、背中に羽がはえて、天空に帰っていくのだ。

 アンジェラは、アンドレに対して「あなたの心は美しい。」と言う。
 アンドレは、わたしから見ると、全くのだめんず。
 すぐ人に騙されて、あり金全額をいいかげんな馬券に投じる。全く。パンを買って、「払った」と嘘をついて、支払いを免れようとする。
 わたしなら、こんな男まっぴらと、ハイヒールをはいた足をくるりと展開させて、とっとと「さようなら」と言いたくなるだろう。

 しかし、アンジェラは、彼と一緒に鏡を見て、「自分のことを愛してると自分に向かって言いなさい。」と言う。
 「誰からも愛していると言われたことがない。」とつぶやくアンドレ。
 しかし、アンドレの眼に涙が浮かぶ。

   これは、自分にどう向き合うが、そして、どう自分を愛し、どう自分と折り合いをつけるかという映画である。
 そして、そのためには、自分のことに関心を持ち、愛してくれる他者が必要なのである。人との触れあいが必要で、自分の心のなかを見つめる勇気を持つためにも他者の愛が必要なのだというおとぎ話である。

 でも痛快で、ロマンチックなおとぎ話。
 わたしは、少年院や刑務所で、この映画を上映したら、DVを働いたり、乱したり、自暴自棄になっている人に、何かを伝えることができるのではとも思った。
 一番むずかしいことは、自分の心のなかを見つめること。

 映画を見ながら、この天使の役割は、弁護士や看護士さんや先生やケースワーカーや精神科医などの仕事にも共通項があるとも思った。特に、弁護士は、どん底だと自分で思っている人の人生の一時期に同伴し、励まし、その人が少しでも元気になり、自分の力を取り戻すのを手伝うのが仕事である。
 実は、わたしは、人生相談の仕事などもそのつもりでやっているのだけれどもね。

 仕事は、一時期だけれども愛情は一生のもの。
 すべての人にこんな天使がいて、一人ひとりにきっちり寄り添って、一緒に生きることができたら、人々と世界が変わるのにと思った。
 わたしもとてつもなく癒された。
 そして、どんな人を見ても、この人にも天使がついているかも、ついていればいいのに、という気になっている。
           (福島みずほのHPより一部変更して転載)
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