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映画ウォーキング 群を抜いておもしろい映画評です。名作と言われる映画もジェンダーの視点で切ると・・・
『あいときぼうのまち』(菅乃廣監督 日本 2013年)

出演 夏樹陽子 勝野洋 千葉美紅 黒田耕平 大池容子
脚本 井上淳一

 福島原発事故を経て、素晴らしい映画が誕生した。
 福島原発事故を経て、素晴らしい映画が誕生してほしいと思っていた。その映画を見たと思った。

 1945年、第2次世界大戦の末期、福島県石川町で、ウランの採掘が行われている。
 1966年、福島県双葉郡に置いて、原発の誘致が行われている。
 そして、2011年と2012年、福島原発事故の直前とそのときとその後。

 3つの時が、交錯をしながら、必死で、切なく生きようとしている人々をしっかりと 描いている。

 私は、第二次世界大戦末期において、日本でも原爆を作ろうとさまざまな研究が行われていたということは具体的に聞いていた。しかし、実際にウランの採掘が行われていたなんて全く知らなかった。しかもそれが福島県だったなんて。第一原発から約50キロメートル離れた場所。作業にかり出されたのは、石川中学の中学生である。ツルハシは数が足りない状態で、仕方なく素手で掘ったりしたと言う。中学生たちは必死で頑張ったが、当時の陸軍の技術では実際に原子爆弾作ることが不可能だったらしい。一体、何だったのだろう。

 私は、この映画で、特に印象に残ったのは、様々な女性たちの切なさとたくましさである。

 お父さんが原発反対のために、アルバイトをしていた新聞配達をクビになり、苦労する愛子。まだ、中学生だ。
 お父さんは、第二次世界大戦が終わった時に、また渋滞。岡已之することが信用できないと思って生きてきた。それが、彼の、原発反対の原点でもあった。
 不器用なお父さん。
 家に、原発に賛成しろとさまざまな人たちが家にやってくる。
 それをじっと聞いている愛子。
 孤独な愛子の唯一の心の支えは、同級生の健次である。

 それから、45年の歳月が過ぎ2011年、愛子と健二は出会う。2人は、どう変わっているのか。
 2011年3月11日の震災、事故でどう愛子の家族と健次の家族が変わっていくのか。

 私は、10代の愛子ちゃんと60代の愛子さんの2人が本当に印象に残っている。
 地域の中で、不器用に反原発を貫くお父さんのもとで、愛子ちゃんは孤独であり苦労をしている。守ってくれるものなどない。
 60代の愛子さんは、勇気があり、気っぷのよさはそのままである。
 10代の時に、健次が愛子に引きずられていたように、年月が経っても、健次は、愛子に引きずられる。

 そこに、愛子の孫娘である千葉美紅が絡んでいく。

 愛と希望があるのか。
 愛と希望なんかない。
 いや、愛と希望がなければ人は生きられない。
 愛と希望を、人は見いだすことができるのか。
 それをこの映画は、問うている。
 福島出身の菅乃廣、脚本家の井上淳一、そして、撮影もまた福島県出身の鍋島淳裕である。
 彼らが描く、福島の過去、現在、そして未来。

 そして、これは福島だけの話ではない。日本の戦争中、戦後、高度経済成長期、そして現在、それをまた描いていると私は思う。
 ぜひ、1人でも多くの人に見てもらいたい。
              (福島みずほのHPより一部変更して転載)
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