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映画ウォーキング 群を抜いておもしろい映画評です。名作と言われる映画もジェンダーの視点で切ると・・・
『ブリック』(ライアン・ジョンソン監督 アメリカ 2005年)

 アメリカの高校が舞台。20歳の監督が撮った斬新な映像。
 自分の元を去ってワルたちとつきあうようになった彼女から電話がある。
 何かトラブルに巻き込まれているようだ。
 「ピン」「ブリック」「タグ」などの謎の言葉を残して突然電話は切れる。
 坑道の入り口に、横たわる死体。主人公の青年は、呆然自失の様子で、座ったまま震えるような様子で、その死体を凝視している。

 彼女は誰になぜ殺されたのか。
 背景は何か。
 それを突きとめようとする長い長い闘いが始まる。

 主人公の青年は、昼休みに一人で本を読みながら体育館の裏でパンを食べるような人々に背を向けた孤独な高校生活を送っている。
 ガールフレンドは、「あなたと一緒に2人で孤立した世界に閉じ込められるのは嫌だ。」と彼の元を去る。「僕は変わる。」と彼が言っても、振りきって去っていってしまう。

 自分の元を去ったガールフレンドへの思いと心の傷。
 高校生とは思えない大人びたいわくありげな登場人物たち。だんだん地方の高校を汚染している麻薬の実態と黒幕があらわれてくる。

 ブリックとは、麻薬のかたまりのことである。
 殺された女性の思いと彼女を取り巻く男性や女性の嫉妬が斬新な映像のなかであぶり出されていく。
 でもこの映画のテーマは、主人公の男性の殺されたガールフレンドに対する強烈な愛情と孤独と守ってあげられなかったという激しい悔いである。
 それにしても驚くべき高校生活の実態だなあ。
 主人公の青年は、ハンフリー・ボガードの再来とも言われているそうだ。確かにハードボイルド。ひよわそうに見えて、けんかは強いし、策略をもって黒幕にせまっていく。しかし、映画のなかを流れているのは、彼の深い孤独と彼女に対するこれまた深い愛情である。自分のもとを去る前も去った後も深く愛している。
 これが「カサブランカ」のハンフリー・ボガードみたいということなのだろうか。
           (福島みずほのHPより一部変更して転載)
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