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映画ウォーキング 群を抜いておもしろい映画評です。名作と言われる映画もジェンダーの視点で切ると・・・
「楽屋」(清水邦夫作 生瀬勝久演出)

出演:小泉今日子・蒼井 優・村岡希美・渡辺えり

チェーホフの「かもめ」を上演する劇場の楽屋。
2人の女優(小泉今日子、渡辺えり)が、化粧に余念がない。
そこに、主演女優(村岡希美)が、舞台に出る準備をしている。
そこに、かつて、その主演女優のプロンプターをしていた女性(蒼井優)が、枕を抱きしめて登場。

「主役を返して。あなたは、疲れているから休んだら」と言う。病んでいる感じを、蒼井優が実にうまく演ずる。2人の女優(小泉今日子、渡辺えり)は、プロンプターであったりする。4人それぞれが、ニーナのセリフを口ずさむ。主演女優を演ずる村岡希美が、鬼気迫る大根役者ぶりを好演。大根役者を演ずるのも難しいのでは。いろんなものを犠牲にし、肉体を酷使しながら、女優をやり、主役を張っているという、すさまじさが心に響く。
体を酷使し、人前に身をさらしている点では、議員も一緒だと、実は私は身をつまされた。
主演女優に比べて、あとの3人は演技がうまい、と言う設定。
あとの3人は、「なぜ私に役がないのだろう。」と思いつつ、ずーっと生きてきたという感じが実によく出ている。
演劇や映画を見に行っても、脇役が主役に比べて、本当にうまいということはあるものね。
それぞれが、性格をうまく演じ、突っ込みと対立と連帯がよく描かれている。

舞台が終わり、主演女優が夕食に出かけた後、残った3人で、演劇の練習をする。
チェーホフの「三人姉妹」渡邊えりの、いわゆる長女をまん中に小泉今日子と蒼井優が寄り添う場面が秀逸。
「三人姉妹」の厳しい現実のなかを、3人で生きていこうとする戯曲と、3人の決意がオーバーラップする。
出番がすぐなくても、来たるべき出番のために準備し続けるという決意があらわれている。
現実は苛酷でも希望を持ち、向き合おうとする思いと努力と言うべきか。肉体を使い、表現活動をする人々に対する敬意、一人ひとりの女性に対する敬意にあふれた演劇。
清水邦夫さんの戯曲は一杯見てきた。これから、もっと見たいと思った。

超アイドルだったキョンキョンが、気が良くて下積みを長くやってきた女優を好演。
渡辺えりさんのユーモラスな演技に、ホッとした。
                    (福島みずほのHPより一部変更して転載)
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