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映画ウォーキング 群を抜いておもしろい映画評です。名作と言われる映画もジェンダーの視点で切ると・・・
猫の恩返し(森田宏幸監督・日本・2002年)

 スタジオジブリリ制作ということで、家族3人で、見に行った。
 空をとぶシーンなどは、相変わらず爽快。でもね・・・・・・・・・・という感じである。
 宮崎駿監督の保守化というべきか(彼は、企画となっている)、フェミニズムの後退というべきか、現実に近づいたというべきか、とにかく驚いた。
 宮崎駿監督のなかにでてくる女の子は、けなげで、ひたむきである。だれかが何かをやってくれることを期待したり、待ったりせずに、全力で自分でやろうとする。「風の谷のナウシカ」「天空の空ラピュタ」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」など。ナウシカやサンのようなけなげ、ひたむき系もあれば、クシャナ、エボシ御前のような勝ち気系もあるが、トトロのおねえちゃんだって、全力で走る。
 「猫の恩返し」は、高校2年生のハルが、ある猫を助けたことから、猫の国に行く、冒険をして、帰ってくるという物語である。疾走する感じやユーモラスなところば、楽しいし、わたしもファンタジーは好きだけれど。
 まず、第1に、ハルを見初めるのが、助けられた猫である皇太子(助けられた猫は、皇太子というか王子だったのである)ではなく猫の国の王様である。王様に言われて、猫の国に行くことになるのだが、これって、「お嫁さんにしたいナンバー1」というか「うちの嫁にしたい」ということである。うちの家にふさわしいという発想がもうよくわからない。うちの嫁にといいつつ、実は、気があるのはおとうさんのほうじゃないの。こんなのに見初められてどうするの。
 第2に、人間の国に戻るためには、塔をかけのぼっていかなくてはいけない。ハルは息がきれてしまってバロン(猫の男爵)に対して、「先に行って」と言う。するとバロンはタッタッタとおりてきて、ハルを抱きかかえて、階段をかけのぼるのである。息一つ切れないバロン。ああ、びっくりした。なによ、これっていう感じである。「耳をすませば」の滴ちゃんは、一生懸命自転車を押したんじゃない。みんな自力でやってきたのに。「千と千尋の神隠し」だって、彼女はとにかく必死でやろうとする。自分で走ることすら、あきらめているってなんなんだろう。元気な高校生のはずなのに。
 前述したように、わたしはこの映画を家族で見ていたのだけれど、娘もこのシーンに激怒していた。
 全力で走らない女なんてなんだ。
 ナウシカよサンは、使命を持っていた。せつなくなるくらい。ナウシカは、全力で地球を救う。1人の女の子に肩に使命を押しつけるなんてとも思うけれど、絶望のなかで、希望と理想を持ち、人々を励ましたのだ。サンはあれ以外に生きようがない。
 ハルは、普通の女の子で、そこがいいのかもしれないけれど、ものすごい絶望も希望も使命もかたれなくなったというのは、現実への屈服のような気がする。一体何が言いたかったのか良くわからない。

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