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映画ウォーキング 群を抜いておもしろい映画評です。名作と言われる映画もジェンダーの視点で切ると・・・
「ボウリング・フォー・コロンバイン」(マイケル・ムーア監督・カナダ・2002年)
「ザ・ビッグ・ワン」(マイケル・ムーア監督・アメリカ・1997年・日本未公開(DVDあり))


 アメリカのコロンバイン高校で、乱射事件が起き、12人の高校生が死亡、先生も死亡。多数の負傷者を出した。
 その2人の高校生が射殺をし、自殺をする直前に、ボウリングをしていたことは、言われたけれど、彼らが射殺をする前に、当時のクリントン大統領がボスニア・ヘルツェゴビナを空爆したことやその高校のそばに世界に冠たるアメリカの軍需企業であるロッキード社があり、多くの人を殺すミサイルを作っており、作られたミサイルが、街を通過して、使われていることとの関連性などが一切語られていないことなどが描かれる。その通り。政治家は、少年犯罪を弾劾するけれど、国家が行う大量の殺戮は、正当化する。暴力と戦争は、つながっている。
 社会のある行為は、弾劾され、ある行為は、賛美される。
 ある人権侵害は、多くの人が同情するが、全く省みられない人権侵害も多く存在する。人権侵害を政治は、「利用」し、捨てていく。
 わたしが、マイケル・ムーアについて、感激したのは、まず、第1に、その現場主義についてである。
 ビデオニュース1つであるアメリカの工場が閉鎖される。みんな従業員は、首である。その現場にでかけていく。
 アメリカの労働者保護法制は、日本よりも悪い。日本では、まだ解雇は、判例によって制限されているが、アメリカの場合、こんなことが可能なのだ。
 アメリカの2大政党制によって、ほとんど存在していない社会民主主義的な考え方を体現しているのが、マイケル・ムーアである。
 スポーツ・メーカーのナイキの社長と話をする。淡々と話をする。糾弾調ではないんだよね。
 ナイキは、アメリカのなかに1つも工場を持っていない。例えば、インドネシアで14歳以上の人を工場で働かせている。そのことをマイケル・ムーアは、指摘し、アメリカのなかに工場を作るように提案する。また、一緒にインドネシアに行こうと提案する。
 日本のなかでも起きている問題である。
 そのことを仕方ないとするのではなく、地域の問題、雇用の問題として、きちんと見せていく。特に、マイケルが問題とするのは、業績が良く、莫大な利益をあげているにも関わらず、工場を閉鎖し、外国に工場を移そうとしている企業のことである。
 第2に、その働く人たちへのシンパシーである。
 本のサイン会をしていると、「今日、解雇されたの」という女性が、やってくる。慰めるマイケル。
 弱肉強食で、一人勝ちを許す社会で、いくつもいくつも仕事を掛け持ちし、地元に仕事がないために、毎日バスに乗って遠くへ働きに出かける人たちの話が出てくる。
 第3に、ユーモアである。
 ライフル協会の会長であるチャールス・ヘストンにあうときも淡々。
 講演会で、声援がとぶ。「マイケル大統領に、お手本に」。
 すると、マイケルが答える。「外食すると、デブになるっていう見本かい」。笑ってしまう。
 アメリカの問題点をえぐるドキュメンタリーなのだけれど、みんなで、改善や成果をかちとることも大事にしていっている。たとえば、高校の乱射事件で車椅子生活になってしまった人と、大きなスーパーマーケットで、弾丸を売らないように、そのスーパーマーケットと交渉し、売ることをやめさせるといった。
 だめだ、ためだアメリカは、だめだ、とんでもない国だというのではなく、みんなに希望を与え、成果も楽しむのだ。
 アメリカと日本とどちらのほうがシンドイかわからないけれど、こんな面白い人もいるのだ。
 マイケルの爪のあかでも煎じて、わたしもがんばろうっと。
 いろんな現場に出かけます。

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