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映画ウォーキング 群を抜いておもしろい映画評です。名作と言われる映画もジェンダーの視点で切ると・・・
「ボーイズ・ドント・クライ」(キンバリー・ピアース監督・1999年・アメリカ)

 主演の女性は、アカデミー賞をとった。ものすごい痛みなしには見れない映画。
 ティム・ブライアンは、小柄だが、ナィーブで、キュートな若い男性。ガールフレンドができる。以前自動車窃盗をしたことがあり、警察から呼び出しがかかる。呼び出しの名前は、ティーナ・ブライアン。女性の名前である。ティムのガールフレンドは、警察に行って、ティムが、女性の収容所のほうにいれられていることにびっくりする。
 段々2人を取り巻く人たちが、ティムが実は、女性ではないかと疑いを持ち始める。
 2人の男性が、ティムをむりやり風呂場へ連れていき、無理矢理脱がせたうえで、その後、輪姦する。
 ティムとガールフレンドは、別の街へ行こうともするが、その前に、輪姦した2人に射殺される。
 1994−1973 ティム・ブライアンという字が流れる。21歳で亡くなったのだ。
 これは、実話をもとにした映画である。
 ティムは、テレビで、実は、自分は女性であり、男性になるのだと述べる。まわりの男性たちは、「騙されていた」と怒るのである(どうして!?)。呼び出しにティムはなんの疑いも感じずにやってくる。輪姦されて、殺されるのである。
 男だって、女だってどっちだっていいじゃないのと叫びたくなる。ハーベイ・ミルクのドキュメンタリー「ハーベイ・ミルクの時代」や「トーチソングトリロジー」もそうだけど、マイノリティ、なかでも性的マイノリティに対する社会のなかにある憎悪、排除のすさまじさを描いている。「オール・アバウト・マイ・マザー」の映画は、まだ救いがあったけれど。
 性同一性障害の問題で、当事者の人たちに会う。戸籍上の姓は変更できても、戸籍上の性は、まだ変更できていない。そのためいろんな不便な目にあったり、避けたりしなければならないことを聞く。名乗りあげることだってまだまだ難しい。
 ところで、先日知り合いに会ったら、以前は、男性だったのに、今度は、女性になっていた。その人が男性のときも全く違和感がなかったけれど、女性になってもこれまた全く違和感がない。
 その人が男性のときは、小柄なイメージだったのに、女性になったら、大柄というか、体格がいいなという感じである。それで、「あああ!」と思った。全く無意識のうちに「男にしては」「女にしては」といフィルターを通じて見ていたんだ!って。自分の無意識のフィルターにびっくりしてしまった。
 まわりにいろんな人が「でできた」。しかし、これは、実は、でてきたのではなく、存在していたのに見えなかったか、社会のなかに存在しにくかったのか・・・・・・・・、いろんな理由があるだろう。
 そして、こんな映画がでてきた。男から女というのは、「オール・アバウト・マイ・マザー」などであったけれど、女から男へというのは、私自身は見たのは初めてで、なぜか身近だった。
 「オール・アバウト・マイ・マザー」はいい映画だけれど、「彼女」は、ガールフレンド(トム・クルーズを離婚させてしまったあのペネロペ・クルス!)を妊娠させ、HIVに感染させ(感染させないようにするのが礼儀でしょ、違うかな)、ペネロペは、出産の際に、体力もなくなっていて、亡くなってしまうのである。なんで死ななきゃなんないのよという感じである。性転換した「彼女」の風貌が男っぽくあったせいか、わたしは、プンプンして、「あんたたち男の配慮のなさでまた女が犠牲になったじゃない」と思ったもんだ。もちろん、映画を見ながら、「あんた(ある女性)が配慮がなく、力がないから、また男がひとり命を落としたじゃない」とプンプンすることもあるけれど。
 驚くべき映画の感想かもしれないけれど、わたしは、「オール・アバウト・マイ・マザー」を見て、「フン、男はいい気なもんだわ」とも思ったのである。
 ゲイの男性を描いた「トーチソングトリロジー」で、若いゲイの男性は、男たちに惨殺されるけれど、性的なぶりものにされて、殺されるのではない。これに対して、「ボーイズ・ドント・クライ」では、主人公は、輪姦されて、その後殺される。
 性同一性障害の問題というと、性的に中立的な問題に一見思えるけれど、もともとは、男だった、もともとは、女だったということは少しは何か影響をしていないだろうか。
 女性から男性になったけれど、子宮ガンで亡くなった人の映画「ロバート・イーズ」があると聞いた。病院に行っても、性同一性障害ということで、何回も診療拒否にあったそうだ。それが手遅れとなった理由の一つではないかと言われている。アメリカの話である。


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