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映画ウォーキング 群を抜いておもしろい映画評です。名作と言われる映画もジェンダーの視点で切ると・・・
『めがね』(荻上直子監督 日本 2007年)

 出演 小林聡美、もたいまさこ
 フィンランドのゆったりした時間が流れて、とてつもなく癒された「かもめ食堂」の監督が作った作品。小林聡美さん、もたいまさこさんと主演女優が一緒なので、姉妹編に思える。

 南の島にある浜田荘にやってくる小林聡美。そこには、主の男性と春の間だけかき氷屋をやって、浜田荘にいるさくらさん(もたいまさこ)と地元の学校で地理を教えている教師(朝日新聞のいしいひさうちさんのマンガに出てくるけだるい女性教師みたいな人)などがいる。

 ゆったりとした時間が流れ、主は、釣りをして、その魚を夕食に出したりする。
 「たそがれる」という雰囲気のみんな。
 朝ごはんを家族のように(?)、一緒にテーブルでとり、また、地元の子どもたちと海で、ゆったりとしたメルシー体操をする。

 小林聡美は、そんなのがかったるくて、別のホテルに行こうとするが、そこは、みんなで農業をする新興宗教みたいなホテル。
 トランクをずるずる引きずって、仕方がないから、来た道を帰る聡美。
 そこに、自転車で迎えにくるさくらさん。
 2人乗りをするが、トランクは、そのまま道の真中に置き去りにしてしまう聡美。ぽつんと道の真中に残るトランク。
 このトランクは、今までの「荷物」を象徴しているようだ。そう言えば、「かもめ食堂」でも届かないトランクといい、とったきのこをトランクにいれることといいトランクが、何かの象徴に使われていたっけ。

 聡美さんは、この奇妙な「たそがれる」雰囲気のなかで、日常のこりみたいなものを少しずつときほぐしていく。

 「かもめ食堂」は、トンカツとおにぎりが実においしかったけれど、「めがね」は、かき氷とバーベキューが実においしそうだった。
 この原稿を書いているときも生つばが出てくる。

 野菜をさくさくと切る音、ゆがいた大きな海老を殻をむいて豪快に食べるシーン、魚にバンと包丁を入れるところ、バーベキューで、じゅっと焼ける音・・・・・・・。
 生活のなかで、ゆったりと。
 そして、「なぜあなたはここにいるのか。」「ここにいないとき、あなたは、どんな仕事をしているのか。」など、映画で描かれたりしない。
 人は、生きていて、がつがつしないで、こんなふうに暮らしていける。南の島(与論島でロケが行われている)でなくても、暮らしていけるよと言っているようにも思えた。
 「荷物」をおろしてどこまでたそがれるか。

 先日、女友達に連絡をしたら、「かもめ食堂」の話になった。彼女は、「かもめ食堂」は、生き方の転機になったといっていた。彼女の娘は、電気も全くない村で暮らし、今は、太陽光パネルがあるので、冷蔵庫と電子レンジはあるそうだ。
 彼女が、知りあいの男性に「かもめ食堂」が良かったと話をしたら、「女のメルヘンではないか。」と言われたそうだ。
 「女のメルヘン」でいいじゃない。
 「ちょっとごはん食べていかない?」なんてことで、結構救われたりするのだ。別に何も聞かないで。

 鎌仲さとみさんが作った「六ヶ所村ラプソディー」も食べ物のシーンが、印象的だった。
 食べ物と命と。

 この映画は、みんなが、めがねをかけているから、めがねなのだろうか。
 ゆったりとしたなかで、わたしも癒される。
                     (福島みずほのHPより一部変更して転載)
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