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映画ウォーキング 群を抜いておもしろい映画評です。名作と言われる映画もジェンダーの視点で切ると・・・
「阿修羅のごとく」(2003年、森田芳光監督、日本)

 おとうさん(仲代達也演ずる飄々としたおとうさん)に若い恋人(紺野美沙子)がいて、通っていることがわかり、4人姉妹は、おかあさん(八千草薫)を傷つけまいとあれこれ心配する。
 そんななかで、4人姉妹それぞれの抱えている問題点、それぞれのライバル意識や支え合いが浮き彫りになってでてくる。
 「それから」などの映画がそうだったように、森田芳光さんの映画は、映像にハッとさせられ、重い、辛いテーマもどこかユーモアにあふれ、笑ってしまう。ねっとり、ずっしり、演歌の世界とならないので、笑いながら、見てしまう。それぞれのテーマは、重く、深刻なんだけどね。
 いわゆる長女(大竹しのぶ)は、夫は、既に亡くなっている。そして、いわゆる不倫をしている。相手は、料理屋の主人であり、そこの花を担当していて、つきあうようになったようだ。相手の妻である桃井かおりとの対決シーン(?)は、ど迫力であり、どこか笑ってしまう。お互い良くやるなあって。
 いわゆる次女(黒木瞳)の夫(小林薫)は、部下の女性と浮気をしている。これまた妻と恋人が病室でバッタリ会ってしまう。2人とも同じワインカラーのレザーコートを着ているのだ。夫が、去年のクリスマスに2人にプレゼントしたのでは。夫は、彼女に電話するはずが、間違えて妻に「昼食を今から一緒にとろう」と電話をかけてしまう。夫は、家で、コップの水を飲み、「やっぱり家で飲む水はうまいなあ」と言う。そこで妻は言う。「どこと比べて?」
 ふふふふふふふふ。怖いおかしい会話でしょう。
 3女は、真面目。不器用な彼と恋愛が始まる。4女と張り合い、父親は、かわいい4女ばかりをかわいがってきたのではないかと小さいときから思っていた。今まで、4女と仲が悪かった。
 4女は、ボクサーを夢みる男の子と一緒に暮らしている。
 みんな心のなかに修羅をかかえている。
 でもそれがどこか救いがある描き方なのだ。
 そして、けんかをしたり、和解をしたり、4人姉妹の関係は、わたしには、シスターフッドに思えた。
 3女と4女は、4女の苦境を3女が、救うことで、和解に向かう。
 おかあさんと2女が、一緒にレストランで、食事をするシーンがある。「おかあさん、心配なことある?」と2女はおかあさんに聞く。「おとうさんの血圧かな」と母は答える。
 いろんなこともみんなで、ごはんを食べたりしながら、なぐさめて乗り越えようとする。
 タイトルは、阿修羅のごとくで、みんな本当のところは、どこか阿修羅をかかえているということなんだろうけれど、わたしにとっては、それぞれのシスターフッドと奇妙なユーモアに励ましてもらったという感じだ。
 極上の(?)日本映画という感じ。やっぱり大竹しのぶと黒木瞳は、演技がうまい。深津絵里もうまい。
 わたしは、2人姉妹なので、なんか身につまされることもあったなあ。

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