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映画ウォーキング 群を抜いておもしろい映画評です。名作と言われる映画もジェンダーの視点で切ると・・・
「ジョンQ」(ニック・カサヴェテス監督・デンゼル・ワシントン主演・2002年・アメリカ)

 息子に心臓病の欠陥があるが、保険の適用がされず、心臓移植のための莫大な費用が払えず、病院から退院を迫られた父親が病院に立てこもる話である。
 病気の沙汰も金次第というか治療の沙汰も金次第というアメリカの医療の現実がこれでもかと描かれる。映画のなかで、保険にはいっていない人が多いことも描かれる。
 心臓移植の描かれ方には違和感を少し持つ。息子が「心臓持ってきてくれた?」と聞くシーンなど心臓は、人が死なないかぎり出てこないの!と言いたくなったけれど。人の死のうえに移植があることのものすごい重さみたいなものはここではでてこない。別のシーンでは出てくるけれど。
 心臓移植が、金持ちしかできないこともなんかすごい違和感。
 国民皆保険ではないアメリカの制度にげっそりしつつ、病院での窓口負担が3割負担になってしまった日本の制度もますます医療の沙汰も金次第になっていることを感じる。
 デンゼル・ワシントンは、大好きな俳優の一人。
 太めになって、労働者の父親役を好演している。意を決した途中から、きりっとなっている。スリルに富んだ映画でもあるので、これ以上の内容には触れない。
 今年の映画は、父親と息子を描いたものが多い。たとえば「海辺の家」「イン・ザ・ベッドルーム」、ちょっと変わったところで「アバウト・ア・ボーイ」など。そういえば少し前だけれど、「父の祈りを」とか「リトル・ダンサー」といった優れた作品もあったっけ(「エデンの東」という古典もあるし)。
 いままで母親と娘を描いた映画はフェミニズムからの観点から見て、なかなか興味のある映画が多く、私もこのテーマについて分析したことがある(『シネマで女性学』共著)。
 家族の中の人間関係でも、夫と妻はかなり描き尽くされた感がある。父と娘は「嫁ぐ娘」に涙する父といったパターンが多く、母と息子はなんかちょっとアブナイ感じがあるのかあまりうまくとりあげられていないのではないか。
 これからもっと、保護者としての父と庇護される息子、高い山である父を乗り越えようとする息子、価値意識の対立など(ジェンダー意識がからむといっそうおもしろい)、さまざまに描かれていくのではないかという気がするがどうだろうか。

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