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映画ウォーキング 群を抜いておもしろい映画評です。名作と言われる映画もジェンダーの視点で切ると・・・
『ヤァヤァ・シスターズの聖なる秘密』(カーリー・クーリー監督 アメリカ 2002年)

 フェミニズム映画を堪能。
 シッダ(サンドラ・ブロック)は、劇作家である。雑誌にインタビューをされ、子どもの頃、母親にぶたれ、虐待を受けたことを語る。娘の記事を読んで、ショックを受ける母親。
 母親の小さいときからの女ともだち3人から、母親の昔の話を聞くことになるシッダ。
 3人の女ともだちは、シッダに彼女の母親のことをちゃんと知ってもらいたいと思い、接近してきたのだ。
 色あせたスクラップブックのタイトルは、「ヤァヤァ・シスターズの聖なる秘密」をある。
 8歳のときから4人で、「ヤァヤァシスターズ」を結成し、どんなときも乗り越えてきたのである。

 自分を虐待し、失踪したり、わがままな母親に振り回されて、15年間カウンセリングを受けつづけてきたシッダは、初めて母親の人生を知ることになる。

 母は、婚約者というか好きな人がいたが、第2次世界大戦に志願し、死亡してしまう。また、彼女には、記者になりたいという大きな望みもあった。
 彼女は、別の人と結婚して、シッダが生まれ、4人の母親となるが、子育ての苦労や悩みからストレスまみれとなる。生き生きとした楽しい日々もあるのだが。

 自分の父親からもらった指輪を質に入れ、家出をしてしまう。モーテルに1人ぼっちで泊まって、ずっとベッドにくるまって寝ている。
 自宅に電話するシーンが印象的だ。シッダが出て、「ママは帰るから。」と言う。数日間の家出で、家に帰る。

 とんでもないと感ずる人もいるだろう。しかし、こんなふうに、何もかも逃れたいと思う人は、女性にも男性にもいたのではないだろうか。

 薬の副作用で、精神錯乱を起こし、子どもをたたいてしまう母親。シッダは、母親に捨てられた時期があったと思っていたが、実は、母親はその当時、精神病院にはいっていたことを今回初めてシッダは、知る。

 この映画は、母と娘の和解の映画であり、母親をとりまく長い間の実は、わくわくするような苦労も欠点も死ぬような思いも悩みも共有してきた母を巡る女友達たちのシスターフードが実は楽しく描かれている。そこがこの映画の素晴らしいところである。

 母親の人生や人格を娘が理解し、和解をしていくというのは、アメリカの映画のなかで、最近、よくとりあげられているテーマである。
 「イン・ハ−・シューズ」では、キャメロン・ディアスは、おばあちゃんのところを訪れ、亡くなった母親のことを理解する。

 この「ヤァヤァ・シスターズの聖なる秘密」では、娘の成功を素直に喜べない母親が、娘の成功を素直に祝福するような精神状態になれたし、娘も母親の辛い思いややりたかったことを理解し、母親の苦しみの理由を初めて知ることになる。

 母親は、エネルギッシュで、活動的で、生き生きしていて、とてつもなく魅力的である。にもかかわらず、どうしていいかわからないために、エネルギーをもてあましていて苦しむ。あるいは、幸せになるやり方がわからなくて、暴走をしたりする。

 わたしには、この母親の精神状態も娘の傷つき方もよーくわかる。

 シッダは、母親が家出をした後、妹や弟のために料理を作ったり、母親がわりをするのだから、子どもながら「不条理」に耐えている。

 一見おせっかいに見える3人の女ともだちの活躍がなければ、母と娘の和解などありえなかっただろう。

 それぞれが女神のように輝いている瞬間も時期も人生もあるというわたしはこれは女性たちへの讃歌のように思えた。
 監督も原作も主人公たちも女たちである。
 監督が女性ということも大きいのではないか。
 女の子にとって、母親との関係は、乗り越えるべき対象であったり、反発する対象であったり、とてつもなく愛する対象であったり、なつかしい対象であったり、ちょっとうとましい対象であったり、悲しませたくない対象であったり、また、友だちであったり、様々である。
 「おかあさんのようにはなりたくない。」と思ったり、「おかあさんのようになりたい。」と思ったり、「わたしはわたし」と思ったり、いろいろである。
 でもどこか同性として、エールを送っている。
 そのエールの送り方というのが、この映画のテーマである。

 まるで秘密結社儀式のように、みんなで輪になって、「ヤァヤァ」と大きな声を出すのも痛快である。
 「女はみんな女神である。」とわたしは言いたくなる。

 娘と和解し、自分がしばらくの間精神病院に入院していたということも娘に語ることのできるようになった母は、自分を静かにずーっと愛してくれていた穏やかな夫の愛情にも気づき、感謝し、夫とも和解をするのである。
                    (福島みずほのHPより一部変更して転載)
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