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映画ウォーキング 群を抜いておもしろい映画評です。名作と言われる映画もジェンダーの視点で切ると・・・
『ウォー・ダンス/響け僕らの鼓動』(アンドレア・ニックス・ファイン監督 アメリカ 2007年)

 舞台は、アフリカの東部にあるウガンダ共和国。
 1970年代に強権を振るっていた悪名高い独裁者のアミン大統領。
 1979年の失脚後、社会に変化が生じたが、他方、北部を中心に反政府軍によるゲリラ活動が続いている。

 この映画は、ドキュメンタリーであり、その北部の難民キャンプにいる子どもたちの再生の物語である。

 子どもたちは、ひとり一人それぞれ傷ついている。
 わたしは、少年兵の話を読んだりしてきたけれど、ああ、こういうことだったのかと改めて思った。

 政府軍と反政府軍は、戦っている。
 反政府軍は、自分たちの勢力拡大のために、子どもたちを誘拐し、少年兵に仕立てていく。
 子どもたちが、小学校に避難し、立てこもっているところに、ゲリラ軍がやってくる。
 誘拐をされる子どもたち。
 子どもがいなくなって、家族が悲しもうがどうか関係ない。
 子どもたちは、兵士になり、人を殺すことも戦うこともやらされる。

 仲間であった村人をなぶり殺すことを強要をされ、心に傷を負う子どもたち。集団殺戮の場面に立ち合ったり、手を汚したり。親をそんななかで、亡くした子どもがいる。

 そこで、救出などをされ、難民キャンプにやってきたのだ。

 ウガンダ全国で、小学校の音楽と踊りと民族ダンスのコンクールがある。そのコンクールに、その難民キャンプの小学校の子どもたちが、参加することになった。
 楽器もろくろくないけれど、猛練習をする子どもたち。
 特訓をするためにやってきた先生に期待をされ、輝いていく子どもたち。

 子どもたち一人ひとりがそれぞれ重い口を開き、それぞれの辛い体験を少しずつ語っていく。
 音楽とダンスが、少しずつ子どもたちの癒しになっていく。
 手作りの木琴で、素晴らしい音を出す子ども。

 みんなでトラックに乗って、初めて首都に行く。武装対立があるので、警備されながらの強行軍である。
 ビルなどを見て、びっくりする子どもたち。
 前年度の優勝校の子どもたちの練習を見ると、服は新しいし、かっこいいし、少し気後れする子どもたち。
 政府軍と反政府軍が武装対立をする北部からやってきた小学校の存在に、他の子どもたちはびっくりする。「北部の裏切り者」なんて言葉が飛んだりする。
 難民キャンプから、やって来れるなんてみんな思ってもいなかったのだ。

 子どもたちは、難民キャンプの子どもではなく、一人ひとりの子どもとなる。

 コンクールの結果やいかに。

 歌と踊りと民族ダンスが素晴らしい。
 子どもたちの辛いけれど、回復の物語だ。
 みんなで、また、トラックに乗って、難民キャンプへ帰って行く。

 音楽をする前と後で子どもたちが変わる。
 コンクールに行く前と後で子どもたちが変わる。

 わたしは、南アフリカ共和国に行ったときのことを思い出した。音楽と歌が楽しかった。小学校を訪問したら、子どもたちがどんどん歌ってくれた。自発的に、全く自由に。

 子どもたちを誘拐し、家族が悲しむことも全く考えず、単に兵力増強しか考えない大人たち。
 背負いきれないほどのものを背負って、傷を負って生きる子どもたち。加害者でもあり、被害者でもある子どもたちは、その両方に苦しんでいる。また、親や兄弟は、殺されているか、消息不明であり、恐ろしく孤独でもある。

 子どもたちが、みんなで力を合わせて、練習をする場面が素晴らしい。コンクールの緊張も。誇らしげな顔も。

 希望と再生の物語である。
                    (福島みずほのHPより一部変更して転載)
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