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1−2003.3.28
民法900条4号但書前段は、憲法14条1項に違反しないとした例
[裁判所] 最高裁第二小法廷
[年月日] 2003(平成15)年3月28日判決
[出典] 家月55巻9号51頁、判時1820号62頁
[判決の概要]
5人の裁判官のうち、3名が合憲、2名が違憲の反対意見であった。
以下は、梶谷玄、滝井繁男両裁判官の反対意見からの抜粋。
「家族関係及び相続をめぐる近時の社会状況の変化は、国内外において著しいものがあり、この傾向は、上記大法廷決定が出された平成7年以降も、嫡出子と非嫡出子の区別をなくしていくことを求める方向に進んでいることが明らかである。そして、この変化が、本件のような相続分の違いをもたらしている規定の改正を促す大きな理由になっているものと考えられる。国内においては、法務大臣の諮問機関である法制審議会が平成8年2月に答申した『民法の一部を改正する法律案要綱』において民法900条4号ただし書の改正の方向が示されているし、国際社会においては、国際連合の人権委員が、市民的及び政治的権利に関する国際規約40条に基づき我が国から提出された第4回報告を検討した上で、平成10年11月に同委員会で採択された最終見解において、前回の検討に続いて改めて、我が国の相続権に関する婚外子差別について引き続き懸念を有し、同規定26条に従い、すべての児童は平等の保護を与えられるという立場を再確認し、我が国が民法900条4号を含む法律の改正のために必要な措置をとるよう勧告しているのである。
また、今日、国際化が進み、価値観が多様化して家族の生活の態様も一様でなく、それに応じて両親と子供との関係も様々な変容を受けている状況の下においては、親が婚姻という外形を採ったかどうかというその子自らの力によっては決することのできない事情によってその相続分に差異を設けることに格別の合理性を見いだすことは一段と困難となっているのである。・・・これらにかんがみると、現時点において、民法900条4号ただし書の規定が上記反対意見のいう違憲審査基準、すなわち『立法目的自体の合理性及びその手段との実質的関連性についてより強い合理性』の基準を充足し、合憲であるということは一層困難であるというべきである。」
[コメント]
久しぶりに相続分差別に関する最高裁判決が出た。合憲・違憲の裁判官の数は極めて近い。この3日後に出た第一小法廷判決(1−4)とあわせてご覧いただきたい。95年の合憲判決から早くも8年近くが経過。その間の社会状況の変化も論じられているのだが。
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