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判例 その他
1−2003.3.31
民法900条4号但書前段は、憲法14条1項に違反しないとした例
[裁判所] 最高裁第一小法廷
[年月日] 2003(平成15)年3月31日判決
[出典]  判時1820号62頁
[判決の概要]
 5人の裁判官のうち、深澤武久、泉徳治の2人の裁判官が反対意見(つまり違憲の判断)、島田仁郎裁判官が「極めて違憲の疑いが濃い」としながら立法府に託した。
島田裁判官の補足意見の抜粋
 「前掲大法廷決定からいまだ7年余りしか経過していないとはいえ、その間の少子高齢化に伴う家族形態の変化、シングルライフの増加、事実婚・非婚の増加傾向とそれに伴う国民の意識の変化には相当なものがある。我が国の伝統は別として、立法した当時に存した本件規定による区別を正当化する理由となった社会事情や国民感情などは、現時点ではもはや失われたのではないかとすら思われる状況に至っている。
 また、同多数意見は、法定相続分は親による遺言のない場合の補充的なものであるということも合憲性の一つの根拠とするが、遺留分を考えると必ずしも補充的であるとばかりはいい切れない側面もあると思われるし、また、非嫡出子が本件規定によって受ける不利益は、単に相続分が少なくなるという財産上のものにとどまらず、このような規定が存在することによって、非嫡出子であることについて社会から不当に差別的な目で見られ、あるいは見られるのではないかということで、肩身の狭い思いを受けることもあるという精神的な不利益も無視できないものがある。
 以上の観点から、私は、少なくとも現時点におていは、本件規定は、明らかに違憲であるとまではいえないが、極めて違憲の疑いが濃いものであると考える。」
 「ただし、上記のように本件規定が極めて違憲の疑いの濃いものであることに加えて、大法廷決定から約半年後には法制審議会により非嫡出子の相続分を嫡出子のそれと同等にする旨の民法改正案が答申されていること、今や世界の多くの国において法律上相続分の同等化が図られていること、国際連合の人権委員会が市民的及び政治的権利に関する国際規約40条に基づき我が国から提出された報告に対して示した最終見解においても、相続分の同等化を強く勧告していること等にかんがみ、本件規定については、相続分を同等にする方向での法改正が立法府により可及的速やかになされることを強く期待するものである。」
深澤武久裁判官の反対意見の抜粋
 島田裁判官同様、法制審議会答申や国連人権委員会の勧告等をひきつつ、
 「本件規定は、親族、相続制度の一部を構成するものであるから、これを違憲無効とするときは、混乱を招き、法的安定性を損なうおそれがあることは否定できない。しかし、最高裁判所の違憲判決が社会的に大きな影響を及ぼすことは、その性質上避けがたいところであって、違憲判決の結果、新たな対応をする必要が生じた場合には、関係機関が速やかに適切な措置をとるべきことは、憲法が最高裁判所に違憲立法審査権を付与した当然の帰結というべきものであり、そのことをもって違憲立法審査権の行使が制約されると考えるのは相当でない。」とした。
泉徳治の反対意見の抜粋
 「嫡出でない子が被る平等原則、個人としての尊重、個人の尊厳という憲法理念にかかわる犠牲は重大であり、本件規定にこの犠牲を正当化する程の強い合理性を見いだすことは困難である。本件規定は、憲法14条1項に違反するといわざるを得ない。本件が提起するような問題は、立法作用によって解決されることが望ましいことはいうまでもない。しかし、多数決原理の民主制の過程において、本件のような少数グループは代表を得ることが困難な立場にあり、司法による救済が求められていると考える。」
[コメント]
 久しぶりに相続分差別に関する最高裁判決が続けて出た。03年3月28日の第二小法廷判決(1−3)とあわせてご覧いただきたい。違憲の疑い濃いとしながら立法府の法改正に期待するという島田裁判官、立法府では期待できないという泉裁判官。現実認識の違いは経験の有無によるものか?最高裁が「合憲」と判断すると、逆に立法府は「おすみつき」をもらったとしてほとんど動かないのが現状なのだけど・・・。
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