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判例 その他

1−2011.12.21
民法900条4号但書を準用する民法1044条につき,適用違憲とした例
[裁判所]名古屋高裁
[年月日]2011(平成23)年12月21日判決
[出典]判時2150号41頁
[事実の概要]
被相続人(父)は平成16年4月に死亡し相続が開始した。相続開始時、被相続人には妻Y1とY1との間の婚内子3人と,Aとの間の子である婚外子Xがいた。婚外子が「控訴人」、2人の婚内子(Y2,Y3)が「被控訴人」である。相続開始後、妻Y1は死亡し、Y1をY2及びY3が相続した。
亡父は,農家の長男として,Aと盛大な婚儀を行い,入籍しないままXの実家でAと生活した。Aは実家に戻ってXを出産したが,亡父の実家に迎えてもらえなかった。翌年,亡父はY1と婚姻し,その後亡父とY1との間に,Y2らが出生した。
Xが,遺産を全てY1に遺贈する旨の亡父の遺言は遺留分を侵害するとした上,婚外子の相続分及び遺留分を婚内子の2分の1と定める民法900条4号但書,1044条の規定は憲法14条1項に反して無効であり,婚内子と同じ遺留分を有するとして,Y1の相続人であるY2,Y3に遺留分減殺請求をした事案である。
原審(名古屋地方裁判所豊橋支部平成19年(ワ)第312号)は,婚外子の遺留分が婚内子の2分の1であるとし,その限度でXの請求を認容したところ,Xが控訴した。
[判決の概要]
民法1044条が準用する民法900条4号但書は,「立法理由との関連において著しく不合理であり,立法府に与えられた合理的裁量判断を超えたものとまではいえず,憲法14条1項に反するものとはいえないというべきである。」
「しかし,非嫡出子が出生したときにおいて,被相続人がそれまで1度も婚姻したことがない場合には,その時点では,尊重し優遇されるべき法律婚もなく,したがって,当該非嫡出子との関係で本件規定により尊重し優遇されるべき嫡出子も存在しないのであるから,このような場合において,後日被相続人が婚姻して出生した嫡出子との関係で本件規定の適用があるとすることは,(法律婚の尊重という立法理由に)直接に又は実質的に関連せず,・・・(本件規定が適用されることによる)差別には合理性を認めることには重大な疑いがある。」
さらに,民法900条4号但書は,「明治時代の旧民法制定当時に設けられ,戦後の民法改正の際に・・・引き継がれたものであるが,家族関係や親子関係等に対する国民意識や婚姻関係等の実情は,亡父が死亡した平成16年当時と(戦後の民法改正)当時とを比較しても,大きく変化していることは否定できない。」都市化など経済的社会的環境が変化した上,「男女雇用機会均等法の施行など,女性の社会進出の増大などの事情も相まって,核家族化などの少子高齢化に伴い家族形態は変化してきており,近年は事実婚や非婚など男女の共同生活のあり方も一様なものでなくなってきていることは公知の事実であり,必ずしも法律婚でなくとも,子供を持ち,周囲もそのことを受容する傾向が次第に現れてきていることもまた否定し難いところである。」平成8年民法改正法律案要綱によれば,「嫡出でない子の相続分は,嫡出である子の相続分と同等とするものとされており,我が国が平成6年に批准した児童の権利に関する条約2条1項には『締約国は,その管轄の下にある児童に対し,児童又はその父母若しくは法定保護者の(中略)出生又は他の地位にかかわらず,いかなる差別もなしにこの条約に定める権利を尊重し,及び確保する。』と定めているなど,嫡出であるか否かなどの生まれによって差別されない制度とすることが求められているのである。」
そうすると,本件規定は法令として違憲無効ではないが,少なくとも,平成16年4月(本件相続が開始した当時)において,(被相続人が1度も婚姻したことがない状態で)出生した非嫡出子について本件規定を適用する限度で,本件規定は憲法14条1項に違反して無効であるというべきである。その上で,婚外子の遺留分を婚内子と同一とした。
[ひとこと]
本件は確定したとのことである。

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