1−2012.11.9
民法900条4号但書及びこれを準用する民法1044条につき,適用違憲とした例
[静岡地裁浜松支部2012(平成24)年11月9日判決 LLI/DB(L06750721)]
[事実の概要]
原告(婚外子)の父母は結婚式を挙げ同居を開始したが、婚姻届を出さないうちに、原告の懐妊に気づかぬまま同居を解消した。原告の出生時、父(被相続人)は誰とも婚姻していなかった。その後、父は婚姻し婚内子をもうけた。父は「妻に全財産を相続させる」との遺言を残して死亡した。原告は遺留分減殺請求訴訟を提起し、民法900条4号但書及びこれを準用する民法1044条につき違憲であると訴えた。
[判例の概要]
児童の権利に関する条約2条1項も引用し、補充性の弱い遺留分規定については(差別の不合理性は)特にあてはまるとし、「平成21年2月15日当時に発生した相続につき、被相続人が婚姻しておらず、過去においても婚姻したことがないときに非嫡出子が出生した場合において、後に当該被相続人が婚姻して成立した法律婚の下の嫡出子との関係で、当該非嫡出子に本件規定を準用する限度において、本件準用規定は、立法府に与えられた合理的裁量判断の限界を超えており、憲法14条1項に違反し、無効というべきである。」として、適用違憲の判断を示した。
[ひとこと]
控訴はなされず確定した。
|