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判例 その他
3−2002.1.31
母子家庭に支給される児童扶養手当について、父が認知すると支給しないこととする児童扶養手当法施行令1条の2第3号は、法の委任の範囲を逸脱した違法な規定であるとした例
[裁判所] 最高裁第1小法廷
[年月日] 2002(平成14)年1月31日判決
[出典]民集56巻1号246頁、判時1776号49頁
[判決の概要]
 「(児童扶養手当)法は、父と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与するため、当該児童について児童扶養手当を支給し、もって児童の福祉の増進を図ることを目的としている(法1条)が、・・・同第5号で『その他前各号に準ずる状態にある児童で制令で定めるものもの』を支給対象児童としている。同号による委任の範囲については、その文言はもとより、法の趣旨や目的、さらには、同項が一定の類型の児童を支給対象児童として掲げた趣旨や支給対象児童とされた者との均衡をも考慮して解釈すべきである。・・・認知によって当然に母との婚姻関係が形成されるなどの世帯の生計維持者としての父が存在する状態になるわけでもない。また、父から認知されれば通所父による現実の扶養を期待することができるともいえない。・・・・施行令1条の2第3号が父から認知された婚姻外懐胎児童を本件括弧書により児童扶養手当の支給対象となる児童の範囲から除外したことは法の委任の趣旨に反し、本件括弧書は法の委任の範囲を逸脱した違法な規定として無効と解すべきである。」
[コメント]
 従前、婚外子は父の認知を受けると児童扶養手当の支給が止められた。そのため、生計のなりたつことを第1に考え、認知を受けることを回避せざるをえない例もあった。父が認知したからといって養育費を支払うとは限らない。また離婚後の母子家庭は父が判明しているが児童扶養手当の支給を受けられることなどと比較しても、婚外子は不利益な扱いを受けてきた。本件と同種の裁判が3件提起されるなど、問題提起を受けて、98年にはこの施行令はすでに改定され認知を受けても支給は続くように変更されたが、最高裁で法的に決着した。この判例では、「均衡を考慮」と何度か述べて違法としながら、憲法14条の法の下の平等に反するか否かについては判断しなかった。最高裁が憲法判断に極めて消極的であることを示す1例でもある。
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