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判例 その他
婚約破棄

2015.7.31
婚姻予約の成立を否定したが中絶による苦痛や負担を軽減解消する義務違反を肯定した事案
[東京地裁2015(平成27)年7月31日 LLI/DB L07030758]
[事実の概要]
原告(1987年生、女性)と被告(1986年生、男性)は、2012年ころから交際を開始した。2013年、被告は、原告に将来一緒にしたいという趣旨の発言をした。2013年、被告は原告の父と面会した。同年、原被告の交際が中断した期間があった。2014年1月、原告が被告の子を妊娠していることが判明した。被告は原告の出産を望まず、同年2月、原告は中絶手術を受けた。被告が、中絶の手術費用を全額負担した。
原告は、被告に対し、婚姻予約の不当破棄及び被告の子を妊娠した原告に対する冷たい対応などにより精神的損害等を被った旨主張し、不法行為に基き、慰謝料等350万3520円及び遅延損害金の支払いを求めた。
[判決の概要]
1 婚姻予約(婚約)の不当破棄について
「婚約は、当事者の将来夫婦になろうとする合意で成立する。その合意内容は、確定的に夫婦になることでなければならないが、婚姻指輪の交換その他の一定の形式は必要ではない。ただし、儀式その他慣行上婚約の成立と認められるような外形的事実がない場合には、合意の成立は、慎重に認定する必要がある。」
本件では、性交渉を続けてはいたものの、原告の父との面会の際、婚約の報告はなく、結婚式の準備等婚姻に向けての手順も進んでいなかった。また、原告は被告に迷いがあると感じていた。以上より、本件では、婚姻予約が成立していたと認めることはできない。
2 中絶に関する不法行為について
「母体(女性)は、(中絶手術の)選択決定をしなければならない事態に立ち会った時点から、直接的に身体的及び精神的苦痛にさらされるとともに、その結果から生ずる経済的負担をせざるを得ないことになるが、それらの苦痛や負担は、男女が分担すべき筋合いのものといえる。そこで、直接的に身体的及び精神的苦痛を受け、経済的負担を負う女性は、性行為という共同行為の結果として、母体外に排出させられる胎児の父となった男性から、それらの不利益を軽減し、解消するための行為の提供を受け、あるいは、女性と等しく不利益を分担する行為の提供を受ける法的利益を有し、この利益は、女性が男性に対して有する法律上保護される利益というべきである。したがって、男性は、女性に対し、そのような行為をする義務を負い、それらの不利益を軽減し、解消するための行為をせず、あるいは女性と等しく不利益を分担することをしないという行為は(略)、不法行為を構成する」。
被告は原告に求婚し、避妊の措置を講ぜずに性交渉を続けていたが、尋問では認知するつもりもなかったと供述し、「あまりにも無責任というほかない」。上記義務に違反し、損害を賠償する義務がある。
3 慰謝料等について
まず、判決は、原告が自殺を図ったり、過呼吸で救急搬送されたことに言及した。その上で、被告の迷いを感じていた原告は妊娠しても不安定な立場に置かれることを意識し得たし、原告の損害は原告と被告の共同行為の結果でもあると指摘しつつ、被告の責任が重大であることから、賠償すべき範囲は8割であるとして、160万円2816円の慰謝料等を認めた。
[ひとこと]
判例秘書の解説によれば、本件は、東京高判1999(平21)年10月15日判時2108号57頁を参考にしたと思われるが、男性が負うべき損賠賠償の範囲を2分の1にした同高判の説示部分に依ることなく、被告の責任割合を8割と認定し得る点に特色があるとする。続けて、同評釈は、中絶は、母体の身体に対する人為的・人工的な侵襲であるといえ、母体の生命健康に関わる身体の侵害として、伝統的な「権利の侵害」(民法709条)である「他人の身体の侵害」(民法710条)に該当すると考えるのが素直な法解釈であると思われ、現在まだ「権利」としては確立しておらず、生成中の「法律上保護される利益」として考える必要はないと考えられる、とし、その男性の帰責性(違法性)ないし発生した結果の重大性の程度に応じて、女性の過失相殺の割合として0〜49%(実務的には45%)の範囲で判断されることになるとする。同評釈に賛同する。

2015.4.28
婚約破棄及び名誉棄損についての損害賠償請求が棄却された例
[東京地裁2015(平成27)年4月28日判決 LEX/DB25525773]
[事実の概要]
原告(男)は被告(女)に対し、被告が正当な理由なく婚約を破棄するとともに、原告から強姦された等の事実に反する発言を仕事関係者に吹聴したなどと主張して、慰謝料500万円及び弁護士費用50万円を請求した。
[判決の概要]
一 本件婚約の成否及びその不当破棄の有無について
1 本件婚約の成否について
平成23年10月の食事会は、原告と被告が将来結婚することをそれぞれの家族に表明するために開かれたものと認めるのが相当であり、遅くともこの時に本件婚約が成立したものと認められる。
2 本件婚約の不当破棄の有無について
原告は、両名間の信頼関係を著しく毀損する何らかの行為を行い、そのため被告は精神状態に支障を来すようになって原告方を退去し、原告との同棲生活を解消した。診断書には「傷病名:適応障害 平成24年6月頃より抑うつ気分、不安、意欲低下、動悸、頭痛などが生じ持続しているため、本日当院を受診となった。」と記載されていることや、被告は本人尋問の際、終始何かにおびえている態度であり、尋問終了後には、おびえ、ふるえ等がひどく、裁判所内の診療所において暫時休んでから帰宅したことからも、被告は、現在も原告に対して強度の恐怖感を有していることが窺える。以上の各事情に照らせば、本件婚約破棄の原因は被告にではなく、むしろ原告にあった可能性が強いというべきであり、被告が本件婚約を正当な理由なく破棄したものと認めることはできない。
二 本件名誉毀損行為の有無について
被告が本件名誉毀損行為をしたと認めるに足る証拠はない。
として、原告の請求を棄却した。

2013.11.25
女性が、自己を男性と偽って女性と交際し、婚約を申し込むなどした行為につき、慰謝料200万円が認められた事例
[神戸地裁2013(平成25)年11月25日判決 LEX/DB25504098]
[事実の概要]
原告(女性)は、2005年に被告と知り合い、2008年夏から交際を開始した。被告の性別は女性であるが、男性と思われる風貌をしていたことから、原告は被告のことを男性と認識していた。
2009年4月、被告から原告に対し婚約の申し込みがあり、原告はそれに応じた。しかし、原告はその後、婚約を破棄し、婚約破棄後の2011年、知人から被告が女性であることを知らされ、被告の性別を知るに至った。
そこで、原告は、被告に対し、精神的苦痛を受けたとして300万円の慰謝料の支払いを求めた。
[判決の概要]
被告が、男性と思われる風貌で写真に写っていること、原告に対し結婚をほのめかすメールを送っていることなどから、被告が自己を男性と偽っていたことを認定し、その上で、被告が自己の性別を偽って原告と交際し、原告に対し婚約申込みをするなどした行為は、原告の人格権を侵害する違法な行為であると認定し、原告が当該行為により精神的苦痛を受けたことを認めた。
また、その一方で、原告には被告の性別に疑いを持ち、確認する機会があった、などとして、被告に200万円の賠償責任を認めた。

2013.6.27
婚約を破棄されたとして慰謝料が請求された事案につき、婚約の成立を認めなかったものの暴力についての慰謝料を認めた事例
[東京地裁2013(平成25)年6月27日判決 LEX/DB25513282]
[事実の概要]
原告X女、被告Yは、同居を始めて間もなく険悪な関係となった。口論となった後、X女がYの子を殺すという趣旨の発言をしたことをきっかけにして、YがX女を蹴ったり平手で叩く暴行を加え、X女は左足に内出血を伴う傷害を負った。X女は警察署に被害届を出し、Y方を退去した。Yは暴行罪として罰金10万円の略式命令を受けた。
X女は、Yに対し、婚約が正当な理由なく破棄され、婚姻及び出産の機会を奪われたことにより多大な精神的苦痛を受けたとして、300万円の慰謝料及び30万円の弁護士費用の賠償を求めて提訴した。
[判決の概要]
「婚約の成立には、当事者間に確定的に夫婦になる合意が存在することを要する」が、原告が「結納品」と主張する登山道具は結納品とは認められないこと、同居を開始して9日後には原被告が交際の継続を困難としてその解消について検討するに至っていたこと、原被告間で入籍の予定について具体的な協議がされた事実はないこと等に照らし、原被告間で、確定的に夫婦になる合意が成立していたとは認められない。したがって、婚約の成立は認められない。
原告が主張した被告の暴力については一部認めつつも、最後の暴力についても、原告の陳述書のみに記載があるだけの傷害の結果等は、認定しなかったり、相当因果関係を否定したりした。
その上で、各暴行の態様、結果等を総合的に考慮すると、慰謝料の相当額を40万円とし、弁護士費用のうち認容額の1割である4万円の限度で認めた。
被告は、原告が「あんたの子供は殺してやる」と述べたことを原告の過失であると主張したが、原告が被告の子に危害を加える具体的危険性は存在しないこと等から、過失相殺を認めないものとした。

2012.11.30
婚約の不当破棄について50万円の慰謝料を認めた事例
[東京地裁2012(平成24)年11月30日判決 LLI/DB L025497765]
[事実の概要]
X(女性)とY(男性)は、勤務先で知り合い、2年以上の交際期間を経て、互いの親に相手を紹介するなどした。Xの両親は熱心なα会員で、Xも同会会員であったが、XはYの求めに応じてαから退会した。また、Yは、Xに対し、Y方に同居してXの実家とは縁を切るように伝えるとともに、結婚の条件として退職を求めた。XとYは、Yの母も同行して家具を選定・購入するなどし、家具の搬入日に合わせてY方での同居を開始した。しかし、引越荷物の量がY方居室の許容量をはるかに上回っていたことや引越当日の段取り等をめぐって、Yの母らはXを厳しく叱責した。さらに、Yの母は、結婚は親が認めるまでしないこと、子どもは絶対に作らないこと、次に何かトラブルがあればXはY方を出て行くこと、棄てた荷物については後で文句を言わないこと、親の判断で強制的にXとYの交際をやめることになっても素直に従うこと等の遵守事項が記載された誓約書の作成を要求し、XYはこれを作成してYの母に渡した。結局、Xは、ブランド品等所持品の相当部分を処分したものの、Yの母の完全な納得は得られず、同居後1週間で実家に戻ることとなった。翌日、Xは勤務先を退職した。Yは、その後もXとの交際を続けていたが、地元の女性と結婚するから別れたい旨のメールをXに送信し、Xと婚姻する意思がないことを表明した。
Xは、婚約破棄による慰謝料及びYやYの母の指示で処分させられた所持品相当額の損害や勤務先を退職したことによる逸失利益等の支払いを求め、訴訟を提起した。
[判決の概要]
1婚約の成否について
「YがXの両親に挨拶した時点で直ちに婚約が成立したとまで認めることはできないとしても、遅くとも、かかる経緯を経てXがYの実家に転居したころまでには、XとYとの間で婚約が成立していたものと認めるのが相当であ」る。
2慰謝料について
「Yは、婚約の破棄に至った経緯について、その責任は専らYやYの母との約束を守ることができなかったXにある旨主張する」が、本件事実経過や諸事情を総合勘案すると、「Yの主張するところは、婚約の破棄の正当な理由に当たるということはできないというべきであり、X自身の一定の責任を考慮してもなお、上記婚約の破棄によりXが受けた精神的損害を慰謝するには50万円をもって相当というべきである」。
3財産的損害について
「Xの所持品の処分自体は、最終的には当時の状況下におけるX自身の意思・判断に基づくものというのが相当であるし、・・・Xの当時の勤務状況やその原因として診断書に掲記されているところに鑑みれば、勤務先を退職したことが専らYとの結婚を目的とするものであったともいえず・・・婚約破棄との間に相当因果関係があるとは認めることができない。」

1994.1.28
婚約破棄による女性の精神的損害として100万円が相当であるとされた事例
[裁判所] 東京地裁
[年月日] 1994(平成6)年1月28日判決
[出典]  判タ873号180頁

1993.3.31
婚約破棄による慰謝料が認められなかった例
[裁判所] 東京地裁
[年月日] 1993(平成5)年3月31日判決
[出典]  判タ857号248頁

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