判例 その他
同性婚

2020.6.4
同性カップルの男性に、犯罪被害者給付制度による遺族給付金が認められなかった例
[名古屋地裁2020(令和2)年6月4日判決 2020年6月5日朝日新聞]
[事実の概要]
2014年、名古屋市で男性Aが殺害された。愛知県公安委員会は、Aと20年以上家計を共にして同居しパートナーであった男性Bに対して、同性であることを理由に犯罪被害者給付制度による遺族給付金を支給しなかった。犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律5条は、支給対象に「犯罪被害者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者も含む)」と明記している。Aの殺害についての刑事事件判決は「夫婦同然の関係」と認定している。Bは不支給決定の取消しを求めて訴えた。
[判決の概要]
「差別や偏見の解消に向けた動きが進んでいるものの、いまだ社会的な議論の途上にあり、(同性の事実婚が)社会通念とは言いがたい」として、請求を棄却した。

2020.3.4
同性カップルの事実婚について、異性間と同じく不貞行為による慰謝料請求を認めた例
[東京高裁2020(令和2)年3月4日判決 家庭の法と裁判34号69頁]
[事実の概要]
同居していた同性カップル間で不貞行為があった場合に、異性間の内縁関係と同じ権利が認められるかが争われ、原審は不貞行為をした側に110万円の損害賠償請求を認めた。
[判決の概要]
原告と相手方女性は、約7年間同居し、その後、同性婚が認められている米国で結婚したこと、日本でも結婚式を開き周囲に明らかにしたこと、子育てやそのためのマンション購入を計画していたことなどから、社会観念上の夫婦と同様だと認められる関係を形成しようとしており、婚姻に準ずる関係にあったとして、原審判決を支持した。

2019.9.18
同性カップルの関係が、一方の不貞行為によって破綻したとして、他方に対する慰謝料請求が認められた例
[宇都宮地裁真岡支部2019(令和元)年9月18日判決 2019年9月19日朝日新聞等]
[事実の概要]
同性のパートナーである原告と被告Aは、米国でNY州法に基づいて婚姻し、日本で挙式をあげ、約7年間日本で同居していた。Aは出産を望み、SNSを通じて知り合った被告Bから精子提供を受け、その後、Bと不貞行為に及んだ。原告からの家裁への申立てにより、原告とA間には、婚姻外関係解消の調停に代わる審判がなされ確定した。
[判決の概要]
「近時、価値観や生活形態が多様化し、婚姻を男女間に限る必然性があるとは断じ難い状況となっている。世界的に見ても、同性のカップル間の婚姻を法律上も認める制度を採用する国が存在するし、法律上の婚姻までは認めないとしても、同性のカップル間の関係を公的に認証する制度を採用する国もかなりの数に上っていること、日本国内においても、このような制度を採用する地方自治体が現れてきていることは、公知の事実でもある。かかる社会情勢を踏まえると、同性のカップルであっても、その実態に応じて、一定の法的保護を与える必要性は高いということができる(婚姻届を提出することができるのに自らの意思により提出していない事実婚の場合と比べて、法律上婚姻届を提出したくても法律上それができない同性婚の場合に、およそ一切の法的保護を否定することについて合理的な理由は見いだし難い。)。また、憲法24条1項が「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し」としているのも、憲法制定当時は同性婚が想定されていなかったからにすぎず、およそ同性婚を否定する趣旨とまでは解されないから、前記のとおり解することが憲法に反するとも認められない。
そうすると、法律上同性婚を認めるか否かは別論、同性のカップルであっても、その実態を見て内縁関係と同視できる生活関係にあると認められるものについては、それぞれに内縁関係に準じた法的保護に値する利益が認められ、不法行為法上の保護を受け得ると解するのが相当である(なお、現行法上、婚姻が男女間に限られていることからすると、婚姻関係に準じる内縁関係(事実婚)自体は、少なくとも現時点においては、飽くまで男女間の関係に限られると解するのが相当であり、同性婚を内縁関係(事実婚)そのものと見ることはできないというべきである。)。……もっとも、原告と被告Aとの関係は、日本の法律上認められている男女間の婚姻やこれに準ずる内縁関係とは異なり、現在の法律上では認められていない同性婚の関係であることからすると、少なくとも現時点では、その関係に基づき原告に認められる法的保護に値する利益の程度は、法律婚や内縁関係において認められるのとはおのずから差異があるといわざるを得ず、そのほか、本件の一切の事情を踏まえると、原告の精神的苦痛を慰謝するに足りる額としては、100万円を認めるのが相当である。」
「被告Bについては、…平成31年判決(最三小判平成31年2月19日を指す GALによる注)にいう特段の事情があるとは認められないから、被告Bは、原告に対し、同性婚の破綻に係る慰謝料の支払義務は負わない」
として、被告Bに対し、金100万円の慰謝料及び弁護士費用10万円の支払いを命じた。
[ひとこと]
同性カップルにも、貞操義務、法的保護を認めた画期的な判決。「事実婚」とまではまだ認めていないが、「憲法24条1項が、およそ同性婚を否定する趣旨とまでは解されない」とした。なお、以前に、DV保護命令が同性カップル間にも命じられた例がある。

 
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