判例 その他
婚氏続称

2014.10.2
離婚後15年以上婚氏を称した者について、婚姻前の氏に変更する「やむを得ない事由」(戸籍法107条1項)があるとされた事例
[東京高裁2014(平成26)年10月2日決定 判時2278号66頁]
[事実の概要]
抗告人は、夫の氏で婚姻し、その後離婚して婚氏続称したが、離婚後15年以上経て、戸籍法107条1項によるやむを得ない事由による氏の変更の許可を家庭裁判所に申し立てた。原審(新潟家裁長岡支部)は、申立てを却下したので、抗告した。
[決定の概要]
「@一件記録によれば、抗告人が、離婚に際して離婚の際に称していた氏である「○○」の続称を選択したのは、当時9歳であった長男が学生であったためであることが認められるところ、前提事実によれば、長男は、平成24年3月に大学を卒業したこと、A抗告人は、平成17年、抗告人の婚姻前の氏である「△△」姓の両親と同居し、その後、9年にわたり、両親とともに、△△桶屋という屋号で近所付き合いをしてきたこと、B抗告人には、妹が二人いるが、いずれも婚姻しており、両親と同居している抗告人が、両親を継ぐものと認識されていること、C長男は、抗告人が氏を「△△」に変更することの許可を求めることについて同意していることからすれば、本件申立てには、戸籍法107条1項の『やむを得ない事由』があるものと求められるのが相当である。」
[ひとこと]
裁判例は、離婚して婚氏続称した者が、その後、婚姻前の氏への変更を求める場合には、「やむを得ない事由」について、一般の場合ほど厳格に解する必要はないとしてきたが、その一例である。

1999.12.6
離婚にあたり婚姻中の氏を称する届出(婚氏続称)をし、その後再婚して夫の氏を称する婚姻届をし、その後再び離婚し再婚前の氏に戻った者が、生来の氏への変更を求める場合は、婚姻前の氏と同じ呼称に変更する場合に準じ、それが濫用にわたるものではなく、特に弊害がなければ、これを認めても差し支えないとして、氏の変更を許可した例
[裁判所]千葉家裁
[年月日]1999(平成11)年12月6日審判
[出典] 家月52巻5号143頁

 
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