判例
1  離婚原因
1-1 有責配偶者からの離婚請求
1−1−2007.05.15 離婚請求控訴事件(大阪)
別居13年、家庭内別居から15年、18歳と16歳の未成熟子がいる有責配偶者からの離婚請求を取り消して離婚を認容した事例
[裁判所]大阪高裁
[年月日]2007(平成19)年5月15日判決
[出典]判タ1251号312頁
[事実の概要]
夫婦は昭和61年婚姻。子は18歳と16歳の男子。夫は平成2年から女性Aと男女の関係をもち、平成6年5月に夫が家を出て別居。夫から3回離婚調停申立、平成14年には離婚訴訟提起、地裁・高裁とも離婚請求を棄却し平成15年に確定した。夫が再び平成17年に離婚調停申立、原審の家裁は有責配偶者からの離婚請求であるとして棄却、夫から控訴した。原審の棄却の理由には、子らの病弱さと高額医療費の必要の可能性のあること、妻がパート収入であり雇用状況の厳しさ、婚姻費用を長期間滞納したことがあること、夫からの慰謝料提示額150万は低いことなどがあげられている。控訴審では調査官により親権者指定についての子の意向調査、子らの監護についての離婚した場合の影響調査が実施された。また、判決前に、養育費、慰謝料などにつき一部和解が成立した。
[判決の概要]
当分の間別居生活を続ける旨の調停が成立した後約13年の別居期間が既に経過しようとしており、別居後、控訴人が丙山との間で既に約8年、内縁関係ともいえる同居を続けているのに対し、婚姻後の同居期間は約8年(約2年の家庭内別居の期間を含む。)にとどまり、控訴人と被控訴人はともに46歳に達し、子らも高校生になっていることなどからすると、婚姻関係を破綻させた控訴人の責任及びこれによって被控訴人が被った精神的苦痛や前件離婚訴訟で詳細に認定されている生活の苦労などの諸事情や、さらには前件離婚訴訟の確定後の期間等の点を考慮しても、今日においては、被控訴人の婚姻継続の意思及び離婚による精神的・経済的・社会的影響などを重視して、控訴人の離婚請求を信義誠実に反するものとして棄却するのは相当でない。 被控訴人が今日までに受けた精神的苦痛、子らの養育に尽くした労力と負担、離婚により被る精神的・経済的不利益などについては、慰謝料の支払や前記のように特別に加算された養育費の支払などを通じて補償されるべきものであって、そのために本件離婚請求自体を容認できないものということはできない。
[ひとこと]
有責配偶者からの離婚請求の判例の判例集への搭載が少ないので取りあげた。
 
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