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判例
1  離婚原因
1-1 有責配偶者からの離婚請求
1−1−2015.5.21 離婚等請求事件
有責配偶者からの離婚請求を認容した上離婚事件の被告からの不貞相手に対する慰謝料請求を一部認容した事例
[札幌家裁2015(平成27)年5月21判決 新・判例解説Watch18号85頁、LEX/DB25506324]
[事実の概要]
原告夫X及び被告妻Y1は1996年11月に婚姻し、長男(1998年生)と長女(2000年生)をもうけた。
Xは2012年3月から2013年2月まで単身赴任をしたが、単身赴任中にスナックのホステスだった被告Y2と知り合い、肉体関係を持つようになった。Xは同年2月から4月まで自宅でY1らと同居したが、同月より再度単身赴任となり、同年6月以降Y2と同居した。同年10月、Xは勤務地が自宅のある市内に戻ったが、Y1らとの同居を再開せず、Y2との同居を継続している。
Y1は同年9月、Y2を相手として慰謝料等請求事件を提訴した(第2事件)。
Xは同年10月、Y1を相手方とする離婚調停を申し立てたが、2014年1月、不成立となった。同年2月、Y1に対して離婚を求めて訴訟提起した(第1事件)。
[判決の概要]
第1事件については、以下の理由を述べた上で、離婚請求を認め、子らの親権者をいずれもY1と定めた。
XとY2が肉体関係に及んだ時点、XとY2が同居した時点、Y1がXとY2の同居を知った時点のいずれについてもXとY1の婚姻関係が破綻したとはいえない。しかし、その後XとY1のメールのやりとりに口論めいたものが多くなり、電話での会話もなくなり、2013年9月Y1が自宅のドアの鍵を取り替え、同月自宅を訪れたXが何度チャイムを鳴らしてもドアをあけなかった。その時点で、Y1のXに対する恐怖心・嫌悪が外形的にも明らかになったもので、婚姻関係が破綻したものと認めた。その上で、主要な破綻原因は、Xの不貞行為にあるが、Y1にも杜撰な家計の管理やX名義での借金の繰り返し、Xから肉体関係を求められた際に風俗店の利用を勧める等の配慮に欠ける言動があったことから、Xの有責性の高さは相対的なものであるとした。
@口頭弁論終結時までの婚姻期間約18年半に対し、別居期間は約1年半であり、A未成熟子らがおり、B離婚によりY1は経済的に余裕がない状態になることが推認できる。しかし、有責性の程度は相対的であること、@別居に至った直接のきっかけはY1が予告なく鍵を取り替えてXが自宅に戻ることを不可能にする実力行使に出たことであること、A子らは比較的年長者であること、BXがY1の作った借金の返済を続けていること、Y1がXの収入や借入金の返済額に比して過分な婚姻費用の支払いを1年以上受けていること、子らの年齢からいってY1が稼働制限をしなければならないような状況にないこと等から、Y1が「離婚によって精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態に置かれる等、Xからの離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するということのできるほどの特段の事情」を認めることはできない。
第2事件については、Y2には、Xに半ば強引に肉体関係に持ち込まれた当初は、故意・過失を認めなったが、その後婚姻関係は既に破綻している旨のXの説明を信じて肉体関係を伴う交際を継続したことについては、過失を認めた。もっとも、専らXが主導的であり、Y2は従たる立場にあったこと、婚姻関係破綻について第一次的に責任を負うべきはXであること、Y2が負う責任の割合はXの場合と異なること、当初は過失もなかったこと等諸般の事情を考慮し、慰謝料は100万円、弁護士費用損害金10万円を認めた(請求額359万8000円)。
[ひとこと]
別居期間が婚姻期間に比して短い上に未成熟子もいる本件であるが、有責性が相対的であること、別居の直接の原因等を踏まえて、離婚請求を認容したものであり、実務上参考になる。
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