判例
2−1−1989.11.22
同居期間12年,別居期間36年,夫が別の女性と暮らしている事案で、慰謝料1500万円、財産分与1000万円を認めた例
[裁判所]東京高裁判決
[年月日] 1989(平成元)年11月22日
[出典] 判時1330号48頁
[事実の概要]
 夫婦は別居約36年。夫は別の女性と暮らしその間に子がいる。妻は以前に処分権が与えられていた夫名義の建物を売却し生活費にあてたことがある。妻はその後働いていたが現在は無職。夫は複数の会社の取締役をし経済的に安定している。夫からの2度目の離婚訴訟。
[判決の概要]
 慰藉料の金額について検討するに,妻は破綻の原因を作出していないのに自己の意思に反して強制的に離婚させられ,夫が不貞の相手方たるA子と法律上の婚姻ができる状態になることは妻に多大の精神的苦痛を与えることは明らかであり,夫がA子と生活して2人の子供も生まれ,一家によって会社を経営し,相当程度の生活を営んでいることは前記のとおりであり,一方,妻は実兄の家に身を寄せ,今日まで単身生活を送ってきたこと,その他一切の事情を斟酌するならば,妻の精神的苦痛を慰藉するには1500万円をもって相当というべきであり,本件記録にあらわれた一切の事情を考慮すると,右生活費にかかわる財産分与として夫に1000万円の支払を命ずるのが相当である。
[ひとこと]
 有責配偶者からの離婚請求を初めて認めた大法廷判決の差戻審である。妻が高齢で1人身であることや夫の資力が高額慰謝料の要因になったと思われる。
 
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