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判例

性格の不一致―1

 別居期間3年5ヶ月で離婚が認容されたケース
 大阪地判1992(平4)年8月31日 未公表

[事案の概要と判旨]
 同居4年8ヶ月、別居3年5ヶ月、男児2歳9ヶ月あり。男児を連れて家を出た妻から夫に対し離婚を請求した。夫は妻に対し、家計費の切り詰めについて細かい要求をしたり、マンション購入に際し妻の親に依存的態度をとったりしていた。妻はそうした夫の心情に嫌悪感を抱き、別居した。判決は、「被告は夫婦関係の修復は可能である旨主張するが、そのための具体的方策の提示はなされていない」「原告と被告との婚姻関係は相互の生活信条や生活態度などについての相違から、原告において次第に愛情を喪失させて破綻を来たすようになっていたところ、別居期間もすでに3年を超えているうえ、婚姻費用の負担などの夫婦間の問題についての解決を裁判手続きに委ねなければ進展を見ることができない段階に至っていることが明らかである」として、民法770条1項5号の離婚原因があるとした。

[コメント]
 別居3年を破綻の目処としたようにも読める判決。婚姻費用は、離婚判決の3ヶ月前に家裁の審判で月6万5000円と命じられていた。夫は最高裁まで争ったが、離婚認容で確定した。



性格の不一致―2

 別居期間2年11ヶ月で離婚が認容されたケース
 東京地判1996(平8)年12月16日 未公表

[事案の概要と判旨]
 同居5年2ヶ月、別居2年11ヶ月、女児4歳あり。女児を連れて家を出た妻に対し夫から離婚を請求した。夫は歯科医師。開業医である。夫の両親と妻との折り合いが悪く、妻は妻の実家を訪ねて新居は留守勝ち、夫は妻が実家ばかりに気をとられて夫の仕事上の苦労に配慮しないと不満を抱き、苛立ちを募らせていた。苛立ちが昂じて娘の目の前で妻を一度だけ叩いたこともある。新居での暮らし止めようとして夫が荷造りするのを妻がみて、妻は女児を連れて実家に帰った。夫は調停を経て月10万円の生活費を妻に送金している。判決は、「夫婦関係を調整するための具体的な話し合いは全くなく(互いに相手方に真摯に話しあおうとする気持ちがないと非難しあっているだけである)、和合する兆しが全くない。」「原被告双方とも相手方に対する思いやりが希薄であると言わざるをえないが、夫婦関係が破綻したのは結局夫婦としての右のような性格の不一致にあるから、原告の離婚請求はやむを得ないというべきである。」として離婚を認容した。

[コメント]
 妻が家を出たといってもその前の夫の別居の準備行為がきっかけとなっているが、破綻を認めた。和合のための具体的話し合いや努力のないことが破綻認定の根拠とされている。高裁で和解して離婚が成立した。



性格の不一致―3

 別居期間3年2ヶ月で離婚が認容されたケース
 山形地判1997(平9)年12月10日 未公表

[事案の概要と判旨]
 同居4年7ヶ月、別居3年2ヶ月、男児6歳、女児4歳がいる。子らは妻が監護していた。家を出た夫から妻に対する離婚請求を認容した。夫婦ともに働いている。
 夫婦は日常茶飯事のように喧嘩を繰り返していた。夫は飲んで深夜に帰宅すると妻は夫を非難し喧嘩の原因となった。夫は妻の態度に反発し妻に暴力をふるったり、物に八つ当たりしたこともあった。妻が女児を連れて外に逃げ出したとき、逃げる妻を追いかけて殴ったり蹴ったりの暴行を加えたこともあった。この暴行を契機に原告は別居した。その後夫は離婚調停を申し立てたが、妻はやり直しを求め、妻の転居後の家で再び同居したりもした。しかし、妻が懐胎すると夫は妻に対し、自分の子であるか疑い中絶を求めた。以後完全に別居となった。
 判決は、「原告と被告はいずれも自己中心的で協調性や配偶者への思いやりを欠き、円満な夫婦関係を築き上げるための努力をせず、相手を非難して夫婦喧嘩を繰り返しているうちに、相手方に対する信頼、愛情を失い、さらには相互に嫌悪ないし憎悪するまでに至っており、婚姻関係は深刻かつ治癒しがたい程度に破綻し、もはや婚姻の実をあげうる共同生活の回復は望むことができない状態に立ち至ったものと認められる。」として離婚を認容した。妻からの、1夫の暴力、2夫の不貞、3悪意の遺棄、4精神的虐待の主張をいずれも退け、夫を有責配偶者にあたらないとした。

[コメント]
 不貞の証明は弱いものの、夫に相当の頻度程度の暴力があるので、夫を有責配偶者と認めても不自然ではないと思われるが、妻の側にも真摯にやり直す意思が感じられないことが、離婚認容につながったように思われる。高裁で和解して離婚が成立した。



性格の不一致―4

 家庭内別居4年3ヶ月で夫から妻に対する離婚請求が認容されたケース
 大阪地判2002(平14)年6月19日 未公表
 毎日新聞02.6.28朝刊(大阪版?)に掲載

[事案の概要]
 昭和61年に結婚し11歳の娘が一人いる。夫の職業は不明、妻はスーパーでパート、夫から妻に対する離婚請求がなされた。夫は妻の経済観念に不満を持ちいさかいに。夫は酒の勢いで妻に暴力をふるうこともあり、娘の前でも喧嘩した。互いに相手を非難していた。
 平成9年末頃から夫は帰宅後も自室にとじこもりがちに。夫婦間で会話したり、食事することもなくなり、夫と娘、妻と娘 という行動パターン。必要なことはノートに記載して連絡を取りあっていた。平成10年には夫婦でカウンセリングも受けたが修復に至らず。

[判旨]
 「夫婦関係についての話し合いをもった平成10年3月頃には家庭内別居の状態にあったというべきであって、原告において夫婦関係の修復の意思がなく、強く離婚を望んでいることに照らすと、原告と被告の夫婦関係はもはや破綻しているものというべきである。」「原告及び被告の双方に婚姻関係が破綻したことについての責任があるものと認められる」「被告が離婚により被る経済的不利益は離婚と同時又は離婚後において請求することが認められている財産分与又は慰謝料により解決されるべきものであること」として、夫からの離婚請求を認容した。親権者は妻。

[コメント]
 「家庭内別居で破綻認定・双方に責任あり」で離婚認めた例として先駆的価値がある。これまで、妻から夫に対する請求よりも、夫から妻に対する請求は認められにくかった。とくに妻が子どもを監護することになる場合はそうである。原告である夫の暴力まで認めながら離婚を認めた判例は他にも存在はするが少ないと思われる。裁判では「やり直したい」と主張しながら、真にその意思はなく、相手が許せなかったり意地であったりすることが少なくないが、裁判官にその被告の真意が見抜けた例ともいうべきか。地裁は高裁よりも破綻主義的であるがその例ともいえる。



性格の不一致―5

 別居期間1年2ヶ月で離婚が認容されたケース
 大阪高判2009(平21)年5月26日
 家月62巻4号85頁に掲載

[事案の概要]
夫は、妻が、夫の先妻の位牌を夫と先妻との間の子の妻の実家に送付したり、夫の写真アルバムを破棄したり、夫に対して悪口雑言を浴びせるなどしたため、夫婦間の信頼関係は失われたとして、民法770条1項5号に基づいて離婚訴訟を提起した。
1審の神戸家裁は、妻の行為は、先妻に対する嫉妬心や嫌悪感からやむを得ない面もあることや、夫婦の年齢差、別居期間が1年に満たないことなどを理由に、婚姻を継続しがたい重大な事由が認められないとして、夫の請求を棄却した。
夫は、控訴を提起した。

[判旨]
夫と妻の結婚生活は大きな波風の立たないまま約18年経過したが、齢80歳に達した夫が病気がちになり、生活力を失って生活費を減じたのと時期を合わせるかごとく始まった夫を軽んじる行為、長年仏壇に祀っていた先妻の位牌を取り除いて親戚に送り付け、夫の青春時代からの思い出の品を焼却処分するなどという行為は、当てつけというには、余りにも夫の人生に対する配慮を欠いた行為であって、夫の人生でも大きな屈辱的出来事として、その心情を傷つけるものである。妻は、夫が受けた精神的打撃を理解しようとする姿勢に欠け、夫との関係の修復について真摯に語ろうともしていない。したがって、別居期間が1年あまりであることを考慮しても、婚姻を継続しがたい重大な事由があると認められる。よって、原判決を取り消し、夫と妻とを離婚する。

[コメント]
上記のとおり、もっぱら一方配偶者の側に原因があるケースにおいて、1年2か月の別居期間で離婚が認められた。別居期間が短くとも、本件で修復可能性を認めるのは無理があり、離婚はやむを得ないと思われる。
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