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判例
4 別居中の生活費など

4−3 別居中の夫婦に関するその他の問題

4−3−2005.6.9
妻及び子が居住する夫婦共有名義の不動産について、別居中の夫が妻に対してした共有物分割請求権の行使が、権利の濫用に当たるとされた事例
[裁判所]大阪高裁
[年月日]2005(平成17)年6月9日判決
[出典]判時1938号80頁
[事実の概要]
X(夫)とY(妻)は、昭和43年に婚姻した夫婦であり、昭和62年4月までに自宅を取得し、各2分の1の共有持分を有している。Xは税理士。XYには3人の娘がいるが、長女は精神疾患のため通院治療を継続している。Xが平成8年に自宅を出て、別居開始。Xは癌に罹患している。自宅にはXの債務を被担保債権とする抵当権等が設定されている。XはYに対し、本件不動産を競売に付したうえで、代金分割の方法による共有物分割を求めた。原審は、本件共有物分割請求権の行使が権利の濫用に当たらないと判断し、Xの請求を認容。Yが控訴。
[判決の概要]
@離婚に伴う財産分与手続であれば、自宅をYが単独で取得する可能性が高い、AXは収入を得ているにもかかわらず、Yや長女を置き去りにして別居し婚費をほとんど分担せずYを苦況に陥れていること、BYらは、自宅の競売により退去を余儀なくされ長女の症状が悪化する可能性がある上、経済的にも一層苦境に陥ること、CXが余命を考慮して、自宅を処分し負債を整理することについては、必要があるとしてもYらを苦境に陥れてまで自宅を処分しなければならない理由はない等を指摘して、本件共有物分割請求権の行使が権利の濫用に当たると判断し、原判決を取り消して、Xの請求を棄却した。
[ひとこと]
夫の側にも共有物分割を求める経済的理由等があったため、1審と2審で結論が分かれた。

4−3−1992.8.26
預金などの持ち出し。離婚訴訟係属中の妻が夫名義の国債,ゴルフ会員権,現金を持ち出して消費した場合について、それが実質的な夫婦の共有財産であるときには,その財産の一部を持ち出したとしても,その持ち出した財産が将来の財産分与と考えられる対象や範囲を著しく逸脱するとか,他方を不当に困惑させるなど不当な目的を持たない限り,違法性はなく不法行為とはならず,最終的な帰属は財産分与の際に決すべきとした。
[裁判所]東京地裁
[年月日]1992(平4)年8月26日判決
[出典] 判タ813号270頁

4−3−1991.3.6
居住権。夫婦の一方は他方が所有する建物に居住することができるが,婚姻破綻につき有責性のある者が居住権を主張することは、権利濫用として認められない。
[裁判所]東京地裁
[年月日]1991(平3)年3月6日判決
[出典] 判タ768号224頁

4−3−1989.11.30
動産の引渡請求。夫婦の協力扶助義務の一形態として,別居中の夫婦の一方が他方に対して,生活上必要な衣類や日用品などの物件の引渡しを求めることができ,他方は自己の生活に必要でない限りこれに応じる義務がある。
[裁判所]大阪高裁
[年月日]1989(平元)年11月30日決定
[出典] 判タ732号263頁
[ひとこと]所有権に基づく引渡請求でも可能なのでは?


4−3−1977.3.24
預金の持ち出し。婚姻中に取得した夫名義の預金の半分を、妻が自分名義に変えて家出した事案で、夫から妻に対する損害賠償請求を棄却した。
[裁判所]横浜地裁
[年月日]1977(昭52)年3月24日判決
[出典] 判時867号87頁

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