判例
渉外離婚(国際離婚)

3 離婚準拠法―本国法とは
2の離婚準拠法の第1の共通本国法の有無を決定する前に,まず各人の本国法の決定が必要である。アメリカのように国内の地方により法律を異にする国(場所的不統一法国)や,インド,マレーシアなどのように人種,宗教などによって人的に法律を異にする国(人的不統一法国)の場合には,その国の規則に従って指定される法律を本国法とし,このような規則がない場合には当事者に最も密接な関係のある法律が本国法とされる(法例28条3項・31条1項)。不統一法のほかに,統一法も存する場合にはこういった統一法も本国法に含まれるとされている(東京家審1975(昭和50)年3月13日審判、判タ334号335頁)。
朝鮮や中国などの分裂国家については諸説が分かれている。韓国と北朝鮮については2つの国とみて住所,居所,過去の住所,居住の意思,配偶者の住所,父母の住所などを考慮して本国法を決定するとするのが,1978(昭和53)年の最高裁判所家庭局の見解(家月31巻11号65頁)であり,判例である。


3−1991.10.31
[裁判所]横浜地裁
[年月日]1991(平成3)年10月31日判決
[出典]判時1418号113頁
[判決の概要]
原告(夫)・被告(妻)がいずれもアメリカ国籍で日本に定住している夫婦の離婚事件において,判決はアメリカは法例28条3項にいう不統一法国にあたるが,同条項にいう「規則」はアメリカにはなく,同条項にいう「密接な関係にある地方の法律」は夫はアリゾナ州,妻はメリーランド州であるので共通本国法は存せず,法例16条により夫婦の常居地法である日本法が離婚の準拠法であるとし,日本法により離婚,慰謝料,財産分与を命じた。
 
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