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判例
渉外離婚(国際離婚)

9 外国離婚判決等の承認
外国でなされた離婚判決などは,民事訴訟法118条(旧民事訴訟法200条)1ないし4号の4要件(下記の(1)ないし(4))を具備していれば,日本において承認され有効とされる。それらの要件を欠き無効であると主張する当事者は,無効確認の訴えを提起して裁判所の判断を求めることができる。外国判決に基づき強制執行する場合は,民事執行法24条の執行判決を得てすることができる。
(1)外国裁判所の裁判権が認められること(1号)
(2)送達を受けたこと(2号)
(3)公序良俗に反しないこと(3号)
(4)相互の保証(4号)


9−2014.12.25
日本人男女間の子の養育費についてアメリカ合衆国カリフォルニア州の裁判所が言い渡した判決につき、日本の公序良俗に反しないとして、執行判決が認められた事例
[東京地裁2014(平成26)年12月25日判決 判タ1420号312頁]
[事実の概要]
夫婦はいずれも日本人で子が3人いる。カリフォルニア州に住んでいたが、2011年2月、妻は離婚等請求訴訟を提起し、翌月夫は単身日本に帰国した。
2012年、ロサンゼルス郡上級裁判所は、離婚のほか、子らの養育費及びこれに対する利息の支払いを夫に命じた。妻(本件の原告)は、この外国判決のうち、養育費及び利息の部分について、執行判決を求めた。
[判決の概要]
「被告は、本件外国判決が支払を命じた養育費の額が我が国における養育費の適正額を大幅に上回ると主張する。
しかし、民事訴訟法118条は、外国で正当に追行された訴訟の結果としての判決について、我が国でも原則としてその効力が認められるべきであるとの判断のもと、同条各号に掲げる要件に適合する外国判決を法律上当然に承認するものであり、外国判決の内容が我が国の一般的な基準と合致しない場合があることは、その当然の前提となっている。そうすると、本件外国判決が支払を命じた額が我が国における適正額を上回っても、そのことのみから当然に本件外国判決の内容が我が国における公の秩序又は善良の風俗に反するということはできない。そして、被告は、我が国における養育費の適正額は20万円から22万円程度であると主張するが、仮にそうであったとしても、後述する被告の収入と対比すると、本件外国判決が支払を命じた養育費の額(被告がその主張において用いている為替レートである1米ドル当たり102円で換算すると、34万8432円になり、口頭弁論の終結の日の為替レートよりも若干円安のレートである1米ドル当たり120円で換算すると、40万9920円となる。)が我が国における公の秩序又は善良の風俗に反するというべき(判決のママ)ほど高額であるとは認められない。」として、「強制執行することを許す」とした。
[ひとこと]
控訴は棄却された(東京高判平成27年5月20日戸籍時報平成28年5月号46頁)。

9−2007.9.11
1外国裁判所の離婚判決が我が国において効力を有しないことを理由とする離婚の無効確認を求める訴えが認容された事例
2オーストラリアの離婚判決が民訴法118条(外国裁判所の確定判決の効力)1号及び3号の要件を欠き、我が国において効力がないとされた事例
[裁判所]東京家裁
[年月日]2007(平成19)年9月11日判決
[出典]判タ1255号299頁 判時1995号114頁 家月60巻1号108頁
[事実の概要]
オーストラリア人の夫(有責配偶者)が、オーストラリアニューキャッスル連邦治安判事裁判所において得られた離婚判決に基づいて、我が国において離婚届を提出した。それに対して、日本人の妻が当該離婚判決につき、外国裁判所の判決としての効力を有するための要件の不備(民事訴訟法第118条第1号、第3号)を理由として、離婚の無効確認を求めた。
[判決の概要]
@民事訴訟法第118条第1号(「法令又は条約により外国裁判所の裁判権が認められること」)について
判決は、上記同法1号につき「「法令又は条約により外国裁判所の裁判権が認められること」とは、我が国の国際民事訴訟法の原則から見て当該外国裁判所の属する国がその事件につき国際裁判管轄(間接的一般管轄)を有すると積極的に認められることをいうものと解されるが・・・・、当事者間の公平、裁判の適正・迅速を期するという理念により、条理に従って決するのが相当である。(最高最平成10年4月28日第3小法廷判決民集52.3.853)」「我が国の渉外離婚事件の国際裁判管轄については、原則として当該離婚事件の被告住所国に裁判管轄が認められるが、例外的に、原告が遺棄された場合、被告が行方不明である場合その他これに準ずる場合には、原告の住所地国にも管轄権が認められると解するべきである。(最高最昭和39年4月9日第一小法廷判決裁判集民事73/51)」と判示した。
そして、上記法原則に則り、本件については、
「原告(離婚訴訟の被告)の住所地は我が国にあり、被告自身も我が国において原告と婚姻し、共同生活を営んでいたのであり、しかも、被告は、我が国において仕事に就いており、原告と被告とは婚姻後オーストラリアに居住したことは一度もないのである。こうした事実からすれば、当事者間の公平、裁判の適正・迅速の理念や・・・の法原則に照らせば、本件豪州裁判所に原告及び被告の離婚訴訟についての管轄権があるとは認められないというべきである。」と判示し、本件離婚判決は、民実訴訟法第118条第1号に違反すると判示した。
A民実訴訟法第118条第3号(「判決の内容及び訴訟手続が日本における公の秩序及び善良の風俗に反しないこと」)について
判決は、同条3号について、原告と被告が別居状態となったのは、もっぱら被告の身勝手さによるものであり、まだ婚姻関係が修復される可能性がないとはいえず、仮に原告と被告との婚姻関係が破綻しているとしても、その原因は被告の不貞行為等の身勝手な行動にあって、被告が有責配偶者であることから、「被告から原告に対する離婚請求は、信義誠実の原則に反するものであり、我が国の裁判所では、認められるものではない」と判示した。 その上で、判決は、「もちろん我が国で離婚請求が認められないからといって、本件離婚判決が直ちに民事訴訟法118条3号にいう公序良俗違反となるというわけではないが、原告と被告が我が国で結婚し、婚姻生活も我が国において送ってきたものであって、それゆえ原告および被告の離婚は、我が国における離婚事案であるといえなくもなく、さらに有責配偶者からの離婚請求が信義則に反する場合、離婚請求を認めることはできないという法理は、我が国の身分法秩序として確立されており、その意味で重要なものであるというべきであって、十分尊重されなければならないのである。こうした事情を勘案考慮すれば、本件離婚判決の内容は我が国の公序良俗に反するものというべきである。」と判示し、本件では、同条第3号にも違反すると判示した。
[ひとこと]
本判決は、民事訴訟法第118条第1号の解釈につき、上記最高裁の判断に則った判決であり、「当事者間の公平・裁判の適正・迅速」等の観点より柔軟に解釈している。また、同条第3号に関しても、有責配偶者が求めたオーストラリアでの離婚判決につき、公序良俗に反するとして、要件具備を認めなかった点で意義がある判決である。

9−2001.2.8
[裁判所]東京高裁
[年月日]2001(平成13)年2月8日判決
[出典]判タ1059号232号
[判決の概要]
カリフォルニア上級裁判所の判決が当時カリフォルニアに居住していた日本人夫から日本人妻に対し毎月1万ドルを支払うよう命じたが,その後夫婦とも日本に帰国し,妻から夫に対し民事執行法24条により扶養料支払を命じる判決の執行判決を求めたという事案で,常居所が日本に変更し当該判決の内容が日本法の定める内容と大きく隔たりわが国の公序に反するとして執行判決は認容しないとした。

9−1999.11.24
[裁判所]名古屋地裁
[年月日]1999(平成11)年11月24日判決
[出典]判時1728号58頁
[判決の概要]
アメリカ人妻が日本に住む日本人夫に対しオレゴン州の裁判所に訴えて得た離婚判決につき、1号の要件を欠き不適法であるが、親権者指定に関する部分は1号の要件を満たすとして判決の効力を肯定した。

9−1998.2.26
[裁判所]東京高裁
[年月日]1998(平成10)年2月26日判決
[出典]判時1647号107頁
[判決の概要]
日本人元夫婦間の子の養育費支払につき,米国ミネソタ州裁判所の給与天引き・州の集金機関に対する送金を命じた判決について,給与天引制度は日本にはないが,執行判決が認められた。

9−1994.3.31
[裁判所]京都家裁
[年月日]1994(平成6)年3月31日審判
[出典]判時1545号81頁
[判決の概要]
フランス控訴院が出したフランス国内に子を一定期間滞在させるとの面接交渉の判決につき,非訟裁判については民事訴訟法200条(現行118条)の適用はなく承認できないとし,法例21条により日本法を適用し,日本国内での面接は認容するがフランス国内での面接は子が中学校に進学するまでは相当でなくその時点であらためて当事者で協議するものとした。

9−1993.11.15
[裁判所]東京高裁
[年月日]1993(平成5)年11月15日判決
[出典]判タ835号132頁
[判決の概要]
アメリカ人父と日本人母が離婚した後,母が東京で養育している事案で,父が保護者の変更と子の引渡しをアメリカ・テキサス州の裁判所に求め,同裁判所が「日本は受験競争が激しく,人種差別もある」との証言をもとに,娘をアメリカ・テキサス州の父に引き渡すよう命じたところ,この判決の効力が日本で争われ,「長女は明るく日本の小学校に通学しており,すでに英語が話せないことを考えると,引き渡しを認めることは公序良俗に反する」として,外国判決を承認しないとした。

9−1992.1.30
[裁判所]東京地裁
[年月日]1992(平成4)年1月30日判決
[出典]家月45巻9号65頁
[判決の概要]
子の引渡しを命じたアメリカ・テキサス州裁判所の判決につき,テキサス州と日本の間には同条同号所定の相互の保証があるとして民事執行法24条による執行判決を認めた。

9−1988.11.11
[裁判所]東京地裁
[年月日]1988(昭和63)年11月11日判決
[出典]判時1315号96頁
[判決の概要]
日本人どうしの夫婦で,夫がアメリカ・カリフォルニア州の裁判所で離婚判決を得て,その後再婚し,元の妻から外国離婚判決の不承認を求める訴えが提起されたという事案で,司法共助に関する所定の手続の履践や翻訳文の添付など,離婚訴訟の被告たる本件原告が,防御のための方法を講ずることのできる態様での送達を受けておらず,2号の「送達」の要件を欠くとして,承認しないとした。

9−1982.10.19
[裁判所]横浜地裁
[年月日]1982(昭和57)年10月19日判決
[出典]判時1072号135頁
[判決の概要]
日本人妻とアメリカ人夫の離婚につき,夫がハイチ共和国の裁判所において離婚判決を得て,その後他の女性と再婚したところ,最初の日本人妻から外国離婚判決の不承認を求める訴えが提起され,ハイチ共和国での離婚判決は管轄権を有しない裁判所によりなされたものであり1号の要件を欠き承認されないとした。
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