1 職場で
1-1
上司・同僚・取引先による事例
1-1-1996.05.16 中古車販売会社事件(北海道)
社長X男が、事務員A女に執拗に性交を要求する等したことについて、X男と会
社に70万円の支払いが命じられた事例。
[裁判所]札幌地裁
[年月日]1996(平8)年5月16日判決《確定》
[出典]判例タイムズ933号172頁
[評釈等]水谷英夫『セクシュアル・ハラスメントの実態と法理』(信山社・2001)
[事実の概要]社長X男はA女(20)の入社後間もなくから、「そろそろやらせろ」「おま
えが仕事ができないのは俺とやらないからだ」「拒否するのは仕事を続ける気が
ないということだ」等執拗に性交を迫り、しばしばA女の胸、臀部に触れ、事務
所の2階にある自宅寝室に掃除のためとして呼び入れてベッドに押し倒す等した。
X男は、継続的な性的嫌がらせ行為により故意にA女の性的自由を侵害し、その
結果、A女は入社後1月半で退職を余儀なくされた。
[原告の請求]300万円。
[判決の概要]慰謝料70万円。X男の行為は「A女がようやくかねての希望がかなって
被告会社に入社できたことを知りながら…代表取締役としての管理支配の及ぶ場
所において、しかも被告会社の代表取締役としての職務権限を用いて行われたも
のというべきである」。
[ひとこと]