1 職場で
1-1
上司・同僚・取引先による事例
1-1-1997.02.28 チラシ広告会社事件(東京)
社長X男が、従業員A女に対して、社内で性的な事柄を聞いたり、羽交い締めに
して小便をさせるような格好をさせる等したことにつき、100万円の支払いが命じ
られた事例。
[裁判所]東京地裁
[年月日]1997(平9)年2月28日判決《確定》
[出典]判例タイムズ947号228頁
[評釈等]水谷英夫『セクシュアル・ハラスメントの実態と法理』(信山社・2001)
梅本圭一郎・判例タイムズ臨時増刊978号306頁
[事実の概要]社長X男(51)は、従業員A女(50)に対して、社内で二人だけになった
ときに、A女の手や尻に触り、抱きついたり、性的な事柄を聞いたりした。また、
事務室内でA女を追いかけ回し、捕まえて羽交い締めにして、母親が後ろから幼
児を抱えて小便をさせるような格好をさせ、A女が泣いていると再度追いかけ回
して同じことを行った。これ以後、A女がX男に事務的に接するようになり、X
男はA女を不当に解雇した。
[原告の請求]354万円
[判決の概要]100万円。「被告の各行為は、原告の人格権を違法に侵害するもので不法行
為を構成する」。「不法行為は、勤務時間中に被告会社の事務室内で行われたもの
であるし、原告がこれを拒絶できなかったのは、被告が被告会社の代表者として
の地位を利用して行った行為であったためと認められる」。
[ひとこと]