職場で

-  上司・同僚・取引先による事例

--1998.10.30 歯材販売会社事件(大阪)

社長X男が、従業員A女に対し、ホテル室内における打ち合わせ中、ベッドに横

になり、ベッドの空いている部分を手で叩き、そこに横になれという態度を示し

たことにつき、10万円の支払いが命じられた事例。

[裁判所]大阪地裁

[年月日]1998(平10)年1030日判決

[出典]労働判例75429

[評釈等]水谷英夫『セクシュアル・ハラスメントの実態と法理』(信山社・2001

[上訴等]控訴後和解

[事実の概要]社長X男が、従業員A女に対し、香港出張中のホテル室内において、ズボ

ンをずり降ろして下着をあらわにし、財布などを入れているキャッシュベルトを

取り出したり、上海滞在中のホテル室内における打ち合わせ中、ベッドに横にな

り、ベッドの空いている部分を手で叩き、A女にそこに横になれという態度を示

した。

[原告の請求]未払い賃金・慰謝料として約252万円。

[判決の概要]未払い賃金約82万円、慰謝料10万円。キャッシュベルトを取り出した行

為は「無神経な行為として非難されるべきではあるものの、このような性的不快

感を与えるに過ぎない行為は、これが不法行為と評価されるためには、右行為が、

原告に対し性的不快感を与えることをことさら意図して行われたものであること

を要するというべきである。しかしながら、右行為をX男がかかる意図をもって

故意に行ったことを認めるに足りる証拠はない」。ベッドを叩いた行為は「明ら

かに原告をベッドに誘うような行動をとったものであって…両者の関係…状況等

に鑑みると…雇用契約上の地位を利用して性的関係を求めた行為として、いわゆ

るセクシュアル・ハラスメントに該当し、不法行為を構成するというべきである」。

[ひとこと]