職場で

-  上司・同僚・取引先による事例

--2000.01.28 社会福祉協議会事件控訴審(福岡)

セクシュアル・ハラスメントを否定した一審判決が覆され、165万円の支払いが命

じられた事例。

[裁判所]福岡高裁

[年月日]2000(平12)年128日判決

[出典]判例タイムズ1089号217頁

[上訴等]一審:福岡地裁199833日判決(朝日新聞(西部)199834日朝刊)

[事実の概要]上司X男(49)は、A女(43)と一時期親密な関係にあったものの、A女

の意向によりこれを解消したところ、数年後にA女の職場に事務局長として派遣

されるや、A女宅を訪れて性的関係を迫り、その後は職場の会長室や応接室でた

びたびキスを強要し着衣の中に手を入れて乳房や性器を触った。A女はうつ病と

診断され、経理からホームヘルパーに職務を変更された。

[原告の請求]X男、社協、甘木市は連帯して330万円支払え。

[判決の概要]X男は165万円支払え(内115万円は社協と連帯)。市の責任は否定。「〔A

女が被害を誰にも相談しなかったことについては〕自分がしっかりしていないか

らだという自責の念や人からもそう思われるのではないかという恐れがあり、ま

た人に知られたくないという気持ちがあ〔ったためと供述しており〕、これは性

的被害を受けた者の心情として理解できる」。

[ひとこと]原審は、A女の供述が訂正されるなどしたことから主張のすべてを退けてい

たが、控訴審では双方の供述を仔細に検討し、A女の信用性が勝るとした。