1 職場で
1-1
上司・同僚・取引先による事例
1-1-2000.08.29 F製薬解雇事件(東京)
セクシュアル・ハラスメント行為を行った管理職に対する被告会社の通常解雇処
分が有効とされた事例。
[裁判所]東京地裁
[年月日]2000(平12)年8月29日判決
[出典]労働判例794号77
判例時報1744号137頁
[事実の概要]部下30人を有する管理職X男が、複数の女性社員や派遣社員に対して「デ
ートしよう」「昨日は恋人と燃えたのか」等と発言したり、「今すぐにでも貴方
を抱きたい」との電子メールを送ったり、男性社員に対して「単身赴任で大変だ
から、夜だけ相手をしてくれる女を紹介してくれたら管理職にしてやる」と発言
したことなどから、被告会社はX男を通常解雇処分にした。
[原告の請求]雇用契約存在確認、賃金、慰謝料500万円。
[判決の概要]棄却。X男の各発言は「冗談と見られるものも含まれているとはいえ、部
下を困惑させ、その就業環境を著しく害するものであったといわざるを得ない」。
被告会社の処分は「いささか酷であるとの感を持たないではない」「しかし、被
害を受けたものの多さ、原告の地位、セクハラに対する被告の従前からの取組み
と、その中で原告が置かれていた立場、原告自身セクハラ行為をした部下に対す
る退職勧奨を行った経験〔などから〕…被告が通常解雇を選択したことには合理
性が認めら〔る〕」。
[ひとこと]控訴後和解。