1 職場で
1-1 上司・同僚・取引先による事例
1-1-2003.08.26 N航空会社事件(東京)
航空会社の社史編纂プロジェクトのリーダーであった社員X男が、大学を卒業したばかりで、本件プロジェクトの協力会社から派遣されてきたA女に対して、業務中の昼食時間などに性的な発言をしたり、キスをするなどしたことにつき、X男と航空会社に77万円の支払いが命じられた事例
[裁判所]東京地裁
[年月日]2003(平15)年8月26日判決《確定》
[出典]労働判例856号87頁、朝日新聞(東京)2003年8月27日朝刊
[事実の概要]
社史編纂プロジェクトのリーダーであった航空会社社員X男が、大学を卒業したばかりで、本件プロジェクトの協力会社から派遣されてきたA女に対して、業務中の昼食時間などに「ゴールデンウイーク中に遊びすぎて変な病気でももらったんじゃないの」「〔昼食代金は〕今度身体で払ってもらうからいいよ」等と発言し、A女の本来の業務ではない、自己が講師を勤めるセミナーへの同行を指示し、セミナー後にワインバーへ誘い、「男性経験あるの」等と尋ね、その後近くの公園のベンチで隣に座らせ、唇や頬にキスをし、駅まで戻る際にA女の手を握った。
[原告の請求]550万円
[判決の概要]
X男と会社は、A女に77万円支払え。「上記一連の行為は、原告の人格権を侵害するものであって、不法行為を構成するものというべきである。また、X男の上記行為は、上司たる職務上の地位を利用して行われたものと認められるから、被告会社は、X男の使用者として、X男の上記不法行為について使用者責任を負うべきである」。
[ひとこと]
被告航空会社の調査では、両者の言い分を聞いたうえで、X男が公園のベンチでA女の手を握ったことが上司の行為として不適切であったとして(X男はそれ以外を否定した)、X男に停職30日の処分を下したが、A女はX男が事実の多くを否定したことに納得できず、提訴に至った。