1 職場で
1-1 上司・同僚・取引先による事例
1-1-2004.02.24 S食品会社事件(山口)
食品会社の地区営業統括者X男が、従業員A女に対し、著しく卑猥なメールを十数回にわたり送信したり、他の従業員の外出中にやむなく性交渉に応じさせる等したことにつき、X男に145万円の支払いが命じられ、被告会社にはセクシュアル・ハラスメント防止についての不作為や啓発の不十分さがあったとして55万円の支払いが命じられた事例
[裁判所]山口地裁下関支部
[年月日]2004(平16)年2月24日判決
[出典]労働判例881号34頁
[上訴等]広島高裁2004年9月2日(労働判例881号29頁)《棄却・確定》
[事実の概要]
食品会社の地区営業統括者X男は、従業員A女に対し、著しく卑猥なメールを十数回にわたり送信したり、他の従業員の外出中にやむなく性交渉に応じさせる等した。営業所長の訴外Y男は、A女を性的に中傷した。被告会社はセクシュアル・ハラスメント防止のための適切な措置を講じていなかった。
[原告の請求]A女とその夫Bに対して、X男は各165万円、会社は各55万円支払え
[判決の概要]
X男はA女に145万円、被告会社は55万円支払え。Bの請求は棄却。X男の行為は「恋愛関係にない異性において、それを許容することが一般に想定し難い内容であり、明確な拒否の有無にかかわらず、相手方の性的自由を侵害する不法行為に当たる」。被告会社は、「セクシュアル・ハラスメントの防止に関して…適切な措置を講じることが要請されるので…義務違反によって、従業員を対象としたセクシュアル・ハラスメントを招いた場合、使用者自ら従業員に対する不法行為責任を免れない。…被告会社には、良好な職場環境の整備に係る義務違反があり、A女に対して不法行為責任を負う」。
[ひとこと]