1 職場で
1-1 上司・同僚・取引先による事例
1-1-2004.07.08 厚木市国家賠償請求事件(神奈川)
市の職員で係長X男が、部下であるA女にセクシュアル・ハラスメントを行い、A女が職員の相談窓口に届け出たのに、課長であるY男が必要な措置をとらなかったことから、A女が精神的苦痛を受けたとして、市に220万円の支払いが命じられた事例
[裁判所]横浜地裁
[年月日]2004(平16)年7月8日判決 ≪確定≫
[出典]判例時報1865号106頁、労働判例880号123頁
[事実の概要]
 市の職員で係長X男(48)は、部下A女(27)の採用直後から4回にわたり、「不倫しよう」「はやく結婚しろ」と言ったり、記念撮影の際に「ひざの間に座れ」と引き倒すようにして座らせるなどした。
[原告の請求]330万円
[判決の概要]
 市は220万円支払え。X男の発言はA女に精神的苦痛を与えた。課長Y男はX男の事情聴取でセクシュアル・ハラスメントの事実を認識していたが、A女に「考え過ぎ」などと話し、必要な調査などを行わず、A女の訴えを放置したことが義務違反に当たる。
[ひとこと]
 賠償金額の内訳は、係長のセクシュアル・ハラスメント行為に対して120万円、A女からの苦情を適切に処理しなかった課長の義務違反に対して80万円、弁護士費用20万。