2 教育の場で
2-1 教育者から学生・生徒に対する事例
2-1-1998.11.24 学習塾事件(東京)
塾経営者X男が、学習塾で高校3年生のA女に補習授業中、腰をもんでやるなどと
いって腰をマッサージし、接吻するかのような仕草をしたことに対して、60万円
の支払いが命じられた事例。
[裁判所]東京地裁
[年月日]1998(平10)年11月24日判決
[出典]判例時報1682号66頁
[事実の概要]午後9時半頃よりコンピューターを使用して英語の課題を行っていた際、
高校3年生A女が肩がこっているような仕草をしたところ、塾経営者X男は肩を
もんでやるなどと言ってA女の肩をもみ、腰をもんでやるなどと言ってA女を椅
子の上に伏臥させて背中から腰のあたりをマッサージし、そのうち、突然、A女
の首に腕を回して体に覆いかぶさり、自らの顔面を原告の頬にすり寄せ、頬に接
吻するかのような仕草をし、原告が制止を求めたにもかかわらず、容易にやめな
かった。
[原告の請求]300万円。
[判決の概要]60万円。原告が浪人したこととの因果関係は否定。被告はこれまでも他の
講師や生徒の前で原告にマッサージしたことがあり、格別問題は生じていなかっ
たが「本件の状況及び被告の行動は、これらの際の状況及び被告の行動と同じで
はないから、これらの事実は本件認定を左右するものではない」。「被告の行為
は、原告の意に反する身体的接触と性的行動であったと認められるから、不法行
為に当たる」。
[ひとこと]