教育の場で

- 教育者から学生・生徒に対する事例

--1999.06.03 TS大学事件(宮城)

教授X男が、学生時代から指導をし、現在は部下でもある副手A女と、公私にわた

り世話をしてきた訴外B男が交際を始めたことを知り、嫉妬に駆られ、A女に夜

9時過ぎに駅まで自動車で迎えにくるよう呼び出し、車中で性交を強要したこと

に対して、700万円の支払いが命じられた事例。控訴審では230万円に減額。

[裁判所]仙台地裁

[年月日]1999(平11)年63日判決

[出典]判時1800号53頁

[評釈等]水谷英夫『セクシュアル・ハラスメントの実態と法理』

[上訴等]仙台高裁平成13329日判決(230万円)2-1-2001.03.29

    最高裁20011221日決定(上告棄却・不受理)

[事実の概要]教授X男は、学生時代から指導をし、現在は部下でもある副手A女と、公

私にわたり世話をしてきた訴外B男とが交際を始めたことを知り、嫉妬に駆られ、

A女に夜9時過ぎに駅まで自動車で迎えにくるよう呼び出し、「なんでB男と寝

たんだ。先生もお前をずっと抱きたかったのに我慢してたんだ」「もう面倒はみ

ない」等とわめき、驚愕するA女に車中で性交を強要した。

[原告の請求]1,177万円。

[判決の概要]700万円。「原告には婚約者B男がおり、B男ともども、被告を教師とし

て信頼し、尊敬もしていたものである。被告はこのような信頼を裏切ったばかり

か、原告とB男との交際の事実も知りながら、教授と副手との立場を利用し、原

告を夜間に呼び出し、B男への嫉妬に駆られたあげく、本件行為に及んだもので

あり、これによって被った原告の精神的苦痛が筆舌に尽くしがたいものであるこ

とは、容易に推察することができる」。「さらに、被告は、その後も、自己の過

ちを認めないばかりか、原告が、混乱した精神状態の下で〔被告に謝罪する内容

の〕メモを作成したのを奇貨として、これを用いて原告の両親やB男に虚偽の事

実を申し向けて同人らを誤解させ、原告を孤立化させる結果となったことによっ

て、さらなる苦痛を与えた上、その後も反省の色は窺えず、このような被告の行

為態様は極めて悪質である」。

[ひとこと]高裁ではX男の嫉妬が否定され、A女が無警戒に過ぎたことを理由に、230

万円に減額。