2 教育の場で
2-1 教師から学生・生徒に対する事例
2-1-2001.04.27 H大学事件(東京)
 教授X男が、追試と称して学生A女を自宅に呼び、結婚を迫るなどしたことにつき、250万円の支払いが命じられた事例
[裁判所] 東京地裁
[年月日] 2001(平成13)年4月27日判決
[出典] 判例タイムズ1101号221頁
[事実の概要]
 躁うつ病にあった教授X男(49)が、ろくに会話を交わしたこともない学生A女(19)と相思相愛の仲にあり結婚したいなどの妄想にとりつかれ、追試を実施するとの名目で遠隔地にあるX男の自宅に呼び出して結婚を迫り、その後は一日に何十回もA女に電話をかけ、A女宅を訪問するなどした。A女は恐怖感から神経症になり、自宅から身を隠すことを余儀なくされ、相当期間登校できなかった。
[原告の請求] 500万円。
[判決の概要]
 250万円。「被告の一連の行動は、原告の人格権を侵害し…不法行為を形成する」。「被告は…女性に対する純粋な愛情に基づく求愛行動であって、いかなる意味でも不法行為を構成しないなどと主張するが…被害を受ける側の立場を一切無視した独自の見解に基づく極論といわざるを得ず、採用の余地はない」。
 「被告は、躁うつ病により意思無能力状態であったから…責任はないと主張する」が、極度な躁状態にあったことが「常軌を逸した行動の原因となったものと窺われるものの、それ以上に、当時の被告が事理弁別に従って行動することが不可能であったとまで認めるに足りる証拠は無い」。
[ひとこと]
 大学は99年8月にX男の行為をセクシュアル・ハラスメントと認定して諭旨解雇。