2 教育の場で
2‐1 教育者から学生・生徒に対する事例
2−1−2003.10.09 Y大事件
 大学のガイドラインに反する行為について、司法審査の対象になるとした例
[裁判所] 名古屋地裁中間判決
[年月日] 2003(平15)年10月9日
[出典] 未公表
[事実の概要]
 大学教員による学生に対するセクシュアルハラスメント行為につき、大学のとった措置が、大学自ら作成したガイドラインに反するとして、学生から大学に対し慰藉料請求をした事件で、大学側が、大学内部の問題として司法審査の対象とならないとして争ったので、司法審査の対象か否かの争点にしぼって、判決に先行して中間判決が出された。
[判決の概要]
 判決は、「本件で審理の対象となるのは、被告が自ら定めたガイドライン及び防止規定により、在学契約関係にある原告との間で負担するに至った債務の内容及び被告の債務不履行の有無であり、・・・在学契約に基づく債務の確定及び債務不履行の有無それ自体は私法契約の解釈及びその適用であって、本件紛争が一般市民法秩序と直接の関係を有するものとして司法審査の対象となることは明らかである。」とした。
[ひとこと]
 事業所で作成したガイドラインが、労働契約であれ、在学契約であれ、契約当事者の債権債務の内容を形成していくのは、当然であろう。
                     (本件全体につき、文責榊原富士子)