2 教育の場で
2-2 教育者によるその他の事例
2-2-1998.12.10 N短大研究所事件控訴審(秋田)
教授X男のセクシュアル・ハラスメントを否定して研究補助員A女に名誉毀損の
損害賠償を命じた原審を覆し、X男のわいせつ行為を認定して180万円の支払い
を命じた事例。
[裁判所]仙台高裁秋田支部
[年月日]1998(平10)年12月10日判決《確定》
[出典]判例時報1681号112頁
労働判例756号33頁
[評釈等]水谷英夫『セクシュアル・ハラスメントの実態と法理』(信山社・2001)
[上訴等]一審:秋田地裁1997(平9)年1月28日判決 5-2-1997.01.28
[事実の概要]学会出張で宿泊したホテルにおいて、教授X男が研究補助員A女をいきな
りベッドに押し倒した。
[原告の請求]約334万円。
[判決の概要]180万円。「性的自由の侵害の被害者…すべての者が逃げ出そうとしたり
悲鳴を上げるという態様の身体的抵抗をするとは限らないこと…加えて、職場に
おける性的自由の侵害行為の場合には、職場での上下関係や…友好的関係を保つ
ための抑圧が働くために、これらの抑圧が、被害者が必ずしも身体的抵抗という
手段を採らない要因として働くであろうということが、研究の成果として公表さ
れているのであり、性的被害者の行動のパターンを一義的に経験則化し、それに
合致しない行動が架空のものであるとして排斥することは到底できないと言わざ
るを得ない」。
[ひとこと]原審が「不自然」とした被害者の行動を理解した判決である。