2 教育の場で
2-2 教育者によるその他の事例
2-2-1998.12.22 市立中学校事件控訴審(大阪)
中学校教諭X男が、同僚であるA女の誹謗中傷を繰り返したとして50万円の支払
いを命じた一審を変更して、30万円の支払いを命じた事例。
[裁判所]大阪高裁
[年月日]1998(平10)年12月22日判決
[出典]労働判例767号19頁
[上訴等]最高裁1999(平11)年6月11日決定(棄却・不受理)労働判例767号18頁
一審:大阪地裁1997(平9)年9月25日判決 2-2-1997.09.25
[事実の概要]中学校教諭X男は、同僚であるA女に関する誹謗中傷を繰り返した。
[判決の概要]原審の50万円から30万円に減額。原審が認定した中傷行為の一部につき
違法性を否定した。「A女の学校外における英語教育活動はめざましいものであ
るが…X男もまた熱心に英語教育活動を実践し、学校内外において相応の地歩を
固めつつあること、そして…A女は同校の教職員と必ずしも十分な和を保ってい
たとはいえないことに照らすと、先輩格であるX男がA女に不満をもっていたで
あろうことはともかく、単純に妬んでいたと極め付けるのは早計であり当を得な
いであろう。尤も、右はX男の前記発言を正当化するものでないことは言うまで
もない」。
[ひとこと]一審判決と異なり、本判決は、「X男の発言を正当化するものでない」とし
ながらも、「単純に妬んでいたと極め付けるのは早計であり当を得ない」とする
が、妬みから年下のA女を誹謗したと認定してはX男の沽券に関わるとでも思っ
たのであろうか。あるいは、他の教職員と十分な和を保っていなかったA女に対
してならば、多少の侮辱的発言は許されるということであろうか。