2 教育の場で
2-2 教育者によるその他の事例
2-2-2000.05.31 S高校事件(東京)
 条件付教諭として採用中のX男が、文部省主催の洋上研修参加中にセクシュアル・ハラスメント行為等があったとことを理由に戒告処分を受け、後に免職処分を受けたことは違法でないとされた事例
[裁判所] 東京地裁
[年月日] 2000(平12)年5月31日
[出典] 労働判例796号84頁
[事実の概要]
 1年間の条件付高校教諭として採用されたX男は、文部省主催の洋上研修参加中に、他の班員を「サル」と呼び、班名称について「マスかきザルか、ロリコン変態がいい。俺の趣味だ」と言い、女性班員に船内で出会った際に頭突きをするような行動をし、前に並んだ女性班員の腰部をなぞって「性的に感じるかどうか調べたんだ」と答え、船内廊下で女性班員の左脇腹をつねる等した。
[原告の請求] 処分取消し
[判決の概要]
 棄却。X男の各行為は初任者研修に参加する新任教員の行為として著しく相当性を欠くので、教委の戒告処分に濫用はない。洋上研修における行為からすれば、X男が高校教諭として人格形成途上にある生徒を学習面から情操面までにわたって指導監督すべき教育公務員としての適性に欠けるといわざるを得ないので、免職処分に違法はない。条件付採用期間中の職員に免職処分以外の懲戒処分をした後に、その官職に引き続き任用しておくことが適当でないと認めたときは免職処分をすることができる(最判昭和60年5月20日・裁判集民事145号21頁)。
[ひとこと]