2 教育の場で
2-2 教育者によるその他の事例
2-2-2001.02.20 TG大学名誉毀損事件(宮城)
教授X男が担当科目を外された理由について「セクハラの問題があるからだ」と
専攻主任教授A男が会議で発言したことが、名誉毀損に当たらないとされた事例。
[裁判所]仙台地裁
[年月日]2001(平13)年2月20日判決《確定》
[出典]判例時報1756号113頁
[事実の概要]教授X男が会議の際に、X男が専門教育科目を担当しないこととなった理
由を専攻主任の教授A男に尋ねたところ、A男は具体的な回答を避け、「あなた
が一番よく知っているだろう」などと述べたが、X男が「担当を外した理由をこ
こで明確に答えてもらいたい」などと繰り返し述べたので、A男は「あなたには
セクハラの問題があるからだ」「あなたはまたやっただろう」などと発言した。
[原告の請求]300万円。
[判決の概要]棄却。専攻主任であるA男は、前年に訴外学生B女・C女から直接に、D
女から学科長を経由してセクシュアル・ハラスメント被害の訴えを受けており、
X男を事情聴取して、X男から「お詫び状」を交付されていたところ、本年も、
あらたに学生F女から、シートベルトを掛けてやるといってX男がのしかかって
きたなどとする話を聞いたので、「X男がF女に対してセクハラをした事実があ
ったと考えたとしても、それには相当な理由があった」。「A男は、X男が執拗
に科目担当変更の理由を問いただしたために、本件発言をするに至ったものであ
って…結局、本件発言は、X男の質問に返答するために必要最小限なものであっ
たということができる」。「X男は〔担当から外された〕理由が…X男のセクハ
ラ疑惑にあることを知っていたものということができ、A男に対し、その理由を
問いただせば、本件発言のような内容の返答があることは理解していたと考えら
れる」。
[ひとこと]