2 教育の場で
2-2 教育者によるその他の事例
2‐2‐2015.7.30 T大医師事件(東京)
T大学院研究科講師の医師からセクハラ・パワハラを受けたとする女性研究者の損害賠償請求を慰謝料など約1126万円認容した事例
[神戸地裁2015(平成27)年7月30日判決 毎日新聞2015年7月31日朝刊(神足俊輔記者)]
[事実の概要]
T大大学院医学系研究科講師の48歳の男性医師(Y)は、医学教育の分野で多数の書籍を手がけ、複数の学会の理事も務めている。私大に勤める30代の女性研究者(X)はYと共同研究をしていた。
Xは、Yから性的、身体的暴力を伴うセクハラ、パワハラを受けたとして、Yに対し損害賠償請求訴訟を提起した。
[判決の概要]
原告(X)は、「被告(Y)は医学教育の分野での圧倒的な社会的地位や権力などを利用し、セクハラを継続した。パワハラもあり、心的外傷後ストレス障害(PTSD)になった」として慰謝料等を請求した。
被告(Y)は、「指導的立場にない。好意があって性的関係を持った」と反論した。
判決は、男性医師が2年間「研究打合せ」名目で宿泊先のホテルの部屋に押しかけ、繰り返し性的行為を強要したり、暴言を浴びせたりしたと認定し、慰謝料など約1126万円の賠償を認めた。(弁護士打越さく良)