3 医療の場で

3-1 医療関係者から患者に対する事例

3-1-1999.10.06 主治医事件(大阪)

    主治医X男が、筋ジストロフィー患者のA女を往診の際、キスをしたり胸などを
    触ったりしたことにつき、600万円の支払いが命じられた事例。

[裁判所]大阪地裁堺支部

[年月日]1999(平11)年10月6日判決

[出典]読売新聞(東京)1999年10月6日夕刊

[事実の概要]主治医X男(40)は、週に1−4回、筋ジストロフィーで寝たきりの患者
    A女(21)を往診する際に、キスをしたり、胸などを触る行為を繰り返した。A
    女は自殺未遂。X男はA女の両親と話し合い、毎月100万円を支払う念書を書い
    たが、セクシュアル・ハラスメント行為を認める文言を盛り込むことを拒否、「脅
    迫されて念書を書かされた」として債務不存在確認請求訴訟を提起した。1ヶ月
    後にA女側が反訴。

[原告の請求]X男の請求:債務不存在確認。A女の請求:1,200万円。

[判決の概要]X男の請求は棄却。X男はA女に600万円支払え。「X男はA女の両親から
    信頼されている立場を悪用し」「一度は行為を認め念書まで作成しながら、その後
    は被害者のような態度をとるなどしており、A女の被った精神的苦痛は大きい」。

[ひとこと]X男控訴。A女はX男を強制わいせつ罪で告訴したが、大阪地検は嫌疑不十
    分で不起訴処分とした。