3 医療の場で
3-2 医療関係者によるその他の事例
3-2-1997.07.29 国立病院事件(兵庫)
病院洗濯場の上司X男が、部下A女の胸に触る行為を繰り返し、A女がこれを拒
否すると違法ないじめ行為に出たことに対して、X男とその使用者である国に120
万円の支払いが命じられた事例。
[裁判所]神戸地裁
[年月日]1997(平9)年7月29日判決
[出典]判例時報1637号85頁
判例タイムズ967号179頁
労働判例726号100頁
[評釈等]水谷英夫『セクシュアル・ハラスメントの実態と法理』(信山社・2001)
[上訴等]大阪高裁1998年6月11日判決(棄却)
[事実の概要]病院洗濯場の上司X男は、部下A女の胸に直接触れる行為を繰り返し、A
女がこれを拒否したところ、全く口をきかない、仕事の指示をしない等の違法な
いじめ行為に出た。
[原告の請求]340万円。
[判決の概要]X男と国は連帯して120万円支払え。「被告X男は、原告の意思を無視し
て性的嫌がらせ行為を繰り返し、原告が性的嫌がらせ行為に対して明確な拒否行
動をとったところ、職場の統括者である地位を利用して原告の職場環境を悪化さ
せたものである」。「被告X男の一連の行為は、異性の部下を性的行為の対象と
して扱い、職場での上下関係を利用して自分の意に沿わせようとする点で原告の
人格権(性的決定の自由)を著しく侵害する行為である」。被告国は被告X男の
選任・監督について「相当の注意をしたとまでは認められない」ので使用者責任
を免れない。【引用者注:( )は原文。】
[ひとこと]