4 その他
4-1 政治家による事例
4-1-2000.08.10 千葉県松戸市議事件
千葉県松戸市議X男が、市議A女に対して「男いらずのAさん」と公然と呼びか
け、自己の活動報告紙上においてもA女の名前に振り仮名のように「オトコいら
ず」と付記し一般の新聞に折り込んで配布したことにつき、40万円の支払いが命
じられた事例。
[裁判所]千葉地裁
[年月日]2000(平12)年8月10日判決《確定》
[出典]判例時報1734号82頁
[事実の概要]市議X男は、市議A女に対して「男いらずのAさん」と公然と呼びかけ、
A女の抗議を受けてもこれを撤回せず、自己の活動報告紙上においてもA女の名
前に振り仮名のように「オトコいらず」と付記した。
[原告の請求]290万円。
[判決の概要]40万円。「『男いらず』の言葉は、男性と性的な交渉を持たない女性ある
いは持つことができない女性、性交渉の相手にされない女性、恋人のいない女性
等に対して『皮肉・からかい・侮辱』として使用されることがある」。「被告は、
原告に対し、『からかい』、『皮肉』を言い、『揶揄』し、『挑発』する意図で
『男いらずのAさん』と呼びかけ…前の晩から、原告を困惑させ、怒らせてその
反応見て楽しむという意図を持ち、計画的に『男いらず』の言葉を使用した」。
「被告の…発言は、市議会議員として保持すべき品位を欠いた女性蔑視の侮辱的
な発言であ〔る〕」。また、「被告は、原告が訴訟提起という形をとってまで、
『男いらず』という言葉が非常に不愉快であると表明している最中に…あえて同
じ『オトコいらず』という言葉を用いた活動報告紙を不特定多数の人に対して配
布するという違法性のより高い方法で原告に対しセクシュアル・ハラスメントに
当たる名誉毀損・人格権侵害の不法行為をしたもので…被告の執拗さ・害意の強
さを示すものである」。
[ひとこと]新聞報道によると、判決が確定したにもかかわらず慰謝料の支払いがなされ
ないため、A女がX男の議員報酬などの差し押さえを千葉地裁松戸支部に申し立
てたところ、X男は、「判決に従って支払う意志はあるが、自ら支払うつもりは
ない。法的な手続きで、取りたければ取ればいい」と話した。